ハロウィンの悪魔
営業部へ早足で赴き、目的の人物を見つけて声をかける。
「すみません、提出していただいた書類なのですが此処と此処に記入漏れが。あと課長だけでなく部長の承認印も押してもらってください」
「え?あ〜ハイハイ」
「すみませんねえ」とヘラヘラと笑い軽い調子で謝られ少しムッとする。
「あの…申し訳ないんですが、記入漏れが続いているので提出前に一度確認していただけますか?」
「あー…すんません」
「…お忙しいのは理解していますが、差し戻す事も考慮に入れて出来るだけ早く提出していただけると助かります」
「分かりました。以後気をつけますー」
「…お願いします」
注意されて気に食わなったのが見て取れたが、今は時間が惜しい。一刻も早く自席へ戻りたい。
そうして一度営業部を出たのだが、期限が今日の定時までである事を伝え忘れて再び戻れば、先程注意した男性社員が機嫌悪そうに隣の席の人物へ絡んでいた。