【短編】甘くて濃厚なkiss
取りに来ただけなら、なんであたしに声かけんの?
意味わかんない。
「教室通りかかったら、お前が一人でいたから」
だから声かけたの?
「てかさ、さっき俺のこと見てたよな??」
「え、なんの、こと??」
なんで知ってんの?
「嘘いうなよ。目あったじゃん」
やっぱ、そうだったんだ。
恥ずかしい気持ちと、
少し嬉しい気持ち。
「だから?」
「は??」
「目あったけど、それが??」
「別に、なんもねーけどさ……」
流れる沈黙。
「あたし、帰るね」
鞄を持ち、あたしは教室を逃げるように出た。