最強少女は男装幹部
 味方が居ないような、肩身の狭い状況になっていたとき。

アカネくんが来てくれて、嬉しかった。

 星のように煌めく君が、何よりも羨ましかった。

 ただ、その背中について行きたかった。


 そんな純粋な気持ちが、彼に迷惑をかけてしまったのだ。

 いつの間にかアカネくんに押しつけがましい理想を抱いていた。

着せ替え人形のように、勝手に特徴をつけては満足していた。

本当の彼を、見ようとしなかった。僕の中の偶像のみを見つめていた。

 
 親に見つめてもらえなくて悲しんでいたくせに、自分も人を見つめてなどいなかった。

勝手に解釈して、押し付けて、賞賛して。

 事実にも背を向けた。


 そんな逃げてばっかりの僕を、人に迷惑をかけるような僕でさえも。

君は、最後まで見落とさないでくれた。


 それが、何よりも嬉しかった。

 怖くない、大丈夫。

在り来たりだけど、心の芯を温めるような言葉。
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