最強少女は男装幹部
 蛙の子は蛙。狐の子は頬白。

 母が最低だったように、私もいずれ最低に行き着く。

終末はどうあがいても変わらない。生まれた時から不利な環境で育ったのだから仕方がない。


 生まれた時から用意された環境で育ったせいで、今の私がいる。

 どれだけ高級な肉でも、味付けが悪いのならばゴミ箱へ捨てられる。

どれだけ綺麗な原石でも、薄汚れては価値など暴落する。

 私が生まれた家が、家族が、何もかもが綺麗なら良かった。

欠けのない、素晴らしい環境下で生きられたのなら、さぞ優秀な子に育ったのだろう。

 だからこそ、そんな環境の根源である母は、一生許すことはない。

私の価値と未来を奪い去ったのは、紛れもない実母。


 地獄で私の生き様を、母にダイジェストで見てもらいたい。

 そして、ごめんねと懺悔をしてほしい。
 
後悔してほしい。自分の過ちを、全てを憎んでほしい。

何もかもに絶望して、自分すら信じられなくなって欲しい。

 私を、改めて愛して欲しい。

あの午後の続きを、もう一度追体験したい。

母は死ななくて、ハンバーグを二人で食べて、たった二人だけで暮らして。

そんな白紙のままで終わった、あった筈の色で描きたい。
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