最強少女は男装幹部
 正直言って、私はこの言葉の意味を今だによくわかっていない。

 カズキの方が、パッと見強そうに見える。

見た目もカズキの方がザ・ヤンキーという雰囲気がする。

それに比べ、シズルは温厚な顔つきをしている。


 いつも物腰が柔らかく、親切に接してくれる人な筈、、、なのだが。

 今私たちが見ている柳 静流(やなぎ しずる)は、昏い雰囲気を漂わせていた。

下に俯き、何やらブツブツと独り言を呟いている。

 
 なんだか、思想が強めの人みたいだ。あのメンヘラストーカーを連想させる。

本人は苦しんでいるのだろうが、気持ちが悪いとしか言いようのない空気。

 ここには長居したくないな、と思わせる、重苦しいものだ。


 もう少し近づかないと、言っている内容までは把握できない。

ただ、明るい話ではないことは、一目瞭然だ。

 顔までは見えないが、その背中が哀しさを背負っている。


 ねえ、リン。

 そう呼びかけようと顔の向きを変えた時、ガンッという大きな音が、突如辺りに鳴り響く。

 バッとシズルの方を確認すると、先ほどの呟きが、はっきりと聞こえてきた。

 「あいつマジなんだよ。俺の為にジンを殴った?ふざっけんじゃねぇよ!良い迷惑だっつうの!」
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