最強少女は男装幹部
 拳を振るうのは今でも躊躇いがある。

だから、ハッキングという方法でのし上がることにした。

 家のお墨付きであるハッカーに、小さい頃から習っていた知識を使った。

常識のない下っ端達に表面上は優しく接し、リーダーシップを取ってきた。


 そんな努力を続けていたら、幹部に認めてもらえた。

やっと、蕾まで育った花。あともう一歩で、総長になれる。

そう思ったが、前任の総長も、新しい総長のジンも、俺より遥かに実力が上だった。

 副総長だったジンが総長になったので、俺は副総長になった。

嬉しいはずなのに、嬉しくなかった。


 でも、次こそはとまたやり直そうとした。

前以上に慎重を。前以上に良い成績を。前以上に成功を。

そう思いながら、猿と同等の不良達の信頼を掴み、まとめ上げた。

 そこまでしても、肝心の相性が最悪だった。


 潔白を望む俺とは裏腹に、他の人たちは黒に染まることを目標としていた。

 命乞いをする人間に対して容赦しないジンを、苦手に思っている。

自分と似たもの同士に感じたリンがアカネくんに寄って行っているのに、嫉妬している。

なんでも揚げ足を取ってくるカズキを、鬱陶しく思っている。
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