最強少女は男装幹部
 自分は偽善者になりたかっただけなのだと、最近ようやく気づけた。

自分はリーダーに相応しいと思ってきた。

でも、上には上がいた。

 
 それを繰り返して、花になる前に枯れていく。

蕾にまで成長できたと思っても、花にまでは成れない。

手を伸ばしても、虚しく枯れていく。


 優秀な兄たちに、『静流は凄いよ』と褒められるたびに、嫌悪感が渦巻いていった。

勝手に見下されているように感じて、自分には才能がないと突きつけられた。

そして、いつの間にか兄達のことを嫌いになっていた。

 貰った誕生日プレゼントを、ゴミ箱に投げ捨てようとした。


 心は狭くなっていき、余裕は徐々になくなっていった。

完璧を求めすぎたのかも知れない。自分を過信しすぎたのかも知れない。

 自分を責め、家族を責め、仲間を責めた。
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