最強少女は男装幹部
 アカネくんのことを内心嫌っていた。

だって、噂によれば他校の生徒を痛めつけて笑っているというではないか。

それが、気に食わなかった。


 人を傷つけて快感を覚えるなんて、悪魔の所業じゃないか。

ジンだって、まさに鬼のように人を痛めつける。

百鬼夜行という名に相応しい性格だ。

だからこそ、彼が総長である事が納得行かない。

何の目的もなく、人を殴る。

 そんなの、おかしいじゃないか。


 可笑しい集団に入ってしまった俺も、おかしい人間。

そんなのわかりきっている。

 勝手に人の好意を無下にして、表面上だけ偽るなんて、薄汚いことも。

だからこそ、この世の全てが憎たらしくなるんじゃないか。


 自分が加害者だとわかっていても、救いを求めようとする。

それは俺の中の正義が嫌っていることだ。

 死刑が降ったにも関わらず、自分の罪を他人に最後まで擦りつけるなんて、愚かで許されないことだ。

なのにも関わらず、心の奥底では『助けて』と叫んでいる。


 汚い自分を、愚かな自分を罰さないでくれと思っている。

だって、しょうがないじゃないか。

自分だけは、自分を信じていたいじゃないか___
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