最強少女は男装幹部
 最悪だ。

 もう、他の言葉を出す気力もない。

大嫌いな兄の貰い物で、こんな失態を犯すとは。

もう、完全なる敗北を認めるしかない。

 ここで足掻いても、体力が消耗し、錆が出るだけだ。


 「、、、そうだ。俺は顔を使い分けている。お前らには言う。でも、他の奴らには言わないでくれ。お願いだ、、、」

 消え入りそうな声で、最後の懇願をする。

 
 確かに、連中のことを鬱陶しく思っていたのは事実だ。

でも、だからと言って嫌いだったわけではない。

 それだけは、偽りなく言える。


 だって、俺の家庭のことを、唯一認めてくれたから。

 小中どちらも、俺を受け入れてはくれなかった。

 極道の息子だと知った瞬間に、皆が離れていく。

学級委員長になっても、生徒会に入っても、ボランティア活動に精を入れても。

誰も信用してくれなくて、俺を疑って、怯えた。


 それが、悔しかった。

自分が拒否されたようで、除け者にされた様で。

自分の生まれを恨み、親を恨み、生徒を恨んだ。
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