最強少女は男装幹部
 でも、高校に入った途端、良かったと思った。

 色々な習い事をしていた為、喧嘩はしようと思えばできた。

しかし、偽善の心が、それを拒んだ。

 だから本来ならば、居ても居なくても変わらない下っ端になる予定だった。

しかし、前任の総長が俺の家系を利用しようと提案してくれた。


 そのお陰で、俺は百鬼夜行の切り札的存在になれた。

裏番長とあだ名をつけてもらった時は、初めてのあだ名に飛び跳ねて喜びたい気持ちになった。

ただ、そんな純粋な心で終われば良かった。


 育った環境のせいか、血液のせいか。

俺の性格は日に日にねじ曲がった。

そのきっかけが暴走族に加入したせいなのも、知っている。

 ただ、小さい頃からの不満と嫉妬の弾丸の引き金を引いてしまっただけなのも、知っている。

俺が悪いのも、周りが悪いのも知っている。


 それでも、百鬼夜行を離れたくなかった。

皆に、嫌われたくなかった。離れて欲しくなかった。

 だから、仮面を使い分けた。

自分の偽善に反するとわかっていながらも、隠し続けた。

 愚かで哀しい、バケモノの誕生秘話、というところだろうか。

ただ、弱点は仲間に嫌われることをひどく怯えることだ。
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