最強少女は男装幹部
 椅子から降りれない状況の中、ソファに寝転ぶアカネとリンに視線を送る。

 二人は驚いたように顔を上げ、俺のことを見ていた。

まあ、いつも冷静沈着で表情筋が死んでいた俺が、突然叫び出したらそうなるだろう。

 でも、今はこうするしかない。


 「た、助けてぇ、、、」

 弱々しい声を上げながら、二人に助けを求める。

総長としてのプライドも、時間をかけ確立したキャラクター像も捨てる。

 捨ててしまうほどに、ゴキブリは嫌いだ。

心臓が鼓動を打ちすぎて、胸が痛い。

 今も部屋の中のどこかにゴキブリがいると思うと、怖くて腕を動かすこともできない。

 
 「そ、総長命令だ。そのゴキ、、、Gを駆除しろぉ!!」

 無理やり『総長命令』という存在しない単語を使い、二人に指示を出す。

 するとリンがスッとこちらに出てきて、どこからか持ってきた鉄バットを握りしめる。

多分カズキのコレクションである野球バットだろう。

 というか、それをゴキブリの死体で汚したら絶対説教くらうだろ、、、

まあ、でも今の状況を放置するよりも、説教の方がマシだ。
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