最強少女は男装幹部
 「そうだよっ!俺は虫全般嫌いだよ!なんなら苦いのだって嫌いだし勉強だってできないし声もっと高いし!趣味はおかし作りで女々しいし!?」

 勢い任せで全てを白状する。

虫のことだけで止まれば良かったものを、ぎゃーぎゃーと沢山吐き出してしまったものだ。


 もうプライドとか全部捨ててしまおう。あったところで邪魔なだけだ。

そうだ、リンとアカネの前ならカフェオレ飲めるようになったし?いいんじゃない!?

勉強だってアカネから教えて貰えるもんな!うん!多分!

 これで良かったのか?という疑問を奥底に抱えながら、なんとかして利点を探し出そうとする。

 
 捨ててしまった。吐いてしまった。本性をさらけ出してしまった。

第一印象というのは、その人のイメージの殆どを占めているという。

俺の第一印象は『無口で格好いいイケメン』だった筈だ。

それが壊れた今、アカネとリンに嫌われてしまうかも知れない。

 
 他の連中にもバレたら、百鬼夜行を抜ける人が増えるかも知れない。

俺の見てくれの性格に惚れた者は、少なからずいるだろう。

 それは当然だ。だって、俺も惚れたことがあり、いまだに惚れ続けている。

七海 刃(ななみ じん)ではなく、俺が作り出した理想像に。
< 166 / 230 >

この作品をシェア

pagetop