最強少女は男装幹部
 女々しい性格の七海 刃など、皆の解釈違いだ。

俺は人の中で生きている。七海 刃は誰の中にも生きていない。

 今まで俺を好いてくれてた人たちは、七海 刃を知らない。

完璧に構成された理想像の俺を、皆は信頼してくれていたのだ。

 七海 刃は、誰も必要としていない。

 
 自分から始めた芝居だ。全て自業自得。

だが、ここまでになるとは思っていなかった。

 ただ、理想の生き方、人格になりたかった。

憧れの線をなぞって、姿形を模倣したかった。


 勝手に始めて勝手に悲しんで、馬鹿みたいだ。

そんな女々しくて根性のない俺を、二人が受け入れてくれるとは思わない。

鉄仮面が剥がれ落ちた俺は、何の意味もなさない。


 七海 刃が憧れた人間像に、同じように憧れた人間は。

本当の俺を必要としていない。

 演じたキャラクターを好いても、役者を好きにはならないのと一緒。

七海 刃は、愛されない。
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