最強少女は男装幹部
 思った以上に、私は醜かったようだ。

厄神なんかじゃ済まされない。この世の悪をかき集め、煮込んだ様な人間。

醜く汚い私は、多分一生許されることはない。

 
 母にも、父にも、義母にも、その他多くの人にも。

私は、なんてことをしてしまっていたのだろう。

 苦しい。

 そう思った。そう感じた。

全てが気持ち悪くて、不揃いな現状。

加害者のくせに、被害者ぶっていた。


 母は幼い私の心臓を、えぐってきた加害者だ。

今までそう思い込んでいた。

私の中の母を、悪女に仕立て上げていた。

二人の数少ない幸せな瞬間は、見ない様にしていた。
 
 苦しくなるから。私が死んじゃうから。


 おぼろげな記憶の中、私は確かに母を愛していた。

母も、できる限りの愛情を私に注いでくれていた。

 彼女は悪い人間だ。でも、それが全てではなかった。

ビニール袋の中に入っていた、出来合いのハンバーグがその証拠だ。
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