最強少女は男装幹部
 空に近い展望台から、街一面を見渡した絵。

田舎町の様で、古い屋根の家が小さく群がっている。

その先に広がる、広大なる海岸線。

 
 夕日に照らされて、青色とオレンジ色のグラデーションを作り上げている。

波は夕日に照らされ、キラキラと繊細に輝いている。

 深い青、薄い青、いつしか見た空と同じ色。

色んな色が混ざり合って、一枚の情景を作り出している。

 
 油絵だろうか。こんなに惹き寄せられるものは、見たことがない。

一本一本の弱々しい線に、柔らかい感傷と憂いが込められている。

重ねた色は深みを増し、絵のコクを深めていた。


 「綺麗、、、」

 思わず、そんな言葉をこぼしてしまった。

リンは驚いた様にこちらを振り向き、柔らかく笑う。

 「そうだね。本当に。」


 彼の質素な感想は、幾つもの感情を乗せている様な気がした。

街の絵をひたすらに見つめながら、感傷に浸る。

 昔を思い出す。まだ毎日に意味があった日々の。
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