最強少女は男装幹部
 まだ上下関係も生まれていない教室で、僕だけが下だった。

絡んでくれる子はいたが、殆どの時間が独りきり。

『外人』と言うあだ名が、心に突き刺さった。

それからというもの、容姿を褒められても素直に喜べない。

そのせいで、以前アカネにガチ切れしてしまったのだ。

 ここまでなら、まだ修復が効いた。問題は二年生だ。


 二年生に上がり、クラス替えがあった。

その時に、飯田 冬馬と同じ学級になってしまったのだ。

飯田 冬馬は、一言で言えばガキ大将。

いつも一目置かれ、男子の憧れだった。


 そんな彼は、異質な存在をひどく嫌った。

自分の世界の中で、自分こそが最強だと思っていたせいで、知らない存在が脅威に思えたのだろう。

未知の恐怖に抗うために、彼は俺をいじめ出した。

 最初はプリントを破られるとか、赤青鉛筆を盗まれるくらい。

それが徐々にエスカレートしていった。


 小学5年生になる頃には、完全に学年の的に。

皆小賢しい奴らで、決して教師には気づかれないように徹底していた。

俺一人を共通の敵とすることで、クラスの団結力はより強固なものになっていった。
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