最強少女は男装幹部
 ゴミを食べさせられる。俺のせいにされる。トイレを舐めさせられる。

男子からの暴力リンチは当たり前。女子からは陰口を叩かれ、精神的に攻撃された。

 一番悲しかったのは、ウサギ小屋の兎の死体を触らされたことだ。

僕が世話当番をしていた、白い兎。

どうやら病気で亡くなったらしいが、冬馬にそれを触れと命令された。

体温はとうに無くなっていて、重い肉片と薄く細い毛の感触は今でも覚えている。


 アメリカで仕事を辞めてまで、日本について来てくれた母を悲しませたくなかった。

だから、全力で平然を装った。

 クラスの連中は、半袖でも見えない位置にしか傷をつけてこなかった。

冬馬の指示の元だと思うが、彼らは全ての大人に目を配っていた。

 そのお陰で親にはバレなかったが。


 しかしある日突然、『死のう』と俺が脳裏で囁いてきた。

そうすれば楽になれる。明日は無傷で過ごせる。

 そう思えば、死ぬ事は一種の救いに思えた。
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