最強少女は男装幹部
 心の中で、若造に舌打ちをする。

 首元を狙った拳が、私めがけて飛んで来る__

 が、それをすっと避けてみせる。

 小さく腰を折っただけだが、十分に躱す事が出来た。

 喧嘩というのは、できる限り素早い方がいい。

大げさに動くから、動きが鈍くなるのだ。

小さくすばしっこい方が、俊敏に動くことができる。

 
 相手は馬鹿なので大きく動きすぎた。

勢い余った拳が宙を切り、予想通り体勢が崩れる。

 その隙に足を高く上げ、相手のみぞおち付近に蹴りを入れた。

みぞおちは痛覚が鋭敏な箇所だ。大抵ここに蹴りを入れれば蹲る。

 
 この男もそうで、受け身を取りながらも倒れてしまった。

 起き上がる前に性器付近に蹴りを入れると、意識を失ってくれた。

そんなに痛いのだろうか?私はただただ不愉快だったが。

 
 失神してしまった男に唾を吐き、3人の方に向き直った。

 「俺が言わなきゃ退学になんないけど、いい?」

 私がそういうと、3人はウンウンと全力で頷く。

機械のように高速で動くものだから、思わず笑い声を漏らしてしまう。

 彼らの頭の中には、私への恐怖とお袋への恐怖が詰まっているのだろう。
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