最強少女は男装幹部
 そして、なんとか死のうとした。

インターネットで楽な自殺法を探し回り、市販薬を大量に飲もうとした。

しかし、家族共通のパソコンで検索したのが悪かった。

 履歴がたまたま親に見つかり、自殺寸前に止められてしまったのだ。


 今から遺書を書こう、と言う時に泣きつかれたのだから、びっくりしてしまった。

初めて泣いた母と父を見て、自殺はやめた。

 小学校は転校し、中学は暫く不登校で終わった。


 「そして今日、現れたんだ。桜蘭くらいタチの悪い他校の制服を着てた。」

 苦い思い出を全て話し終わる頃には、おかゆは冷めきっていた。

 重い空気が場を満たし、気まずい状況になる。


 そんな中、アカネはパーカーのポケットの中を漁り、一つの飴を取り出した。

茜色の、透き通った棒つきキャンディー。

 飴で出来た丸い球体は、夏の夕空を連想させる輝きを放っている。

 「これ、シズルから貰ったやつ。人を恨んでも良いが、その選択は自分も幸せにはなれないぞ。」
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