最強少女は男装幹部
 ここで初めてカズキが二年生という事を知った。

私も案外、彼のことを知らないんだなぁ。

 四人でゾロゾロと教室へと向かって行きながら、変な事を考える。


 よく見たら、隣にいるリンが小さく震えていた。

私の裾を小さく掴み、なんとか踏ん張っている。

 そうだ。彼は唯一喧嘩ができないのだ。怖いのもしょうがない。

そっと手を握ってやると、リンは安心した様な顔つきになった。

 「ありがと」
 
 「どーいたしまして」

小さな声で礼を言って貰えて、少し心が温かくなった。

手を繋ぎながら廊下を歩いていくと、目の前に2−3が迫って来る。


 「俺らは桜蘭から来た暴走族だ!飯田 冬馬、今すぐ来い!」

 勢いよく教室の扉を開け、大きな声で威嚇するジン。

 こんな恐ろしい人の趣味がお菓子作りとは思えない。

他校生の登場に2−3は騒めき、中から一人の男がこちらに来る。


 「俺が飯田だけど、、、なに?」

 痛々しいほど鮮やかな青色に髪を染めた少年は、自らの事を飯田と名乗った。

ピアスをジャラジャラと付けた、目つきの悪い男だ。

 口から覗く歯は汚くて、こいつの生活習慣が伺える。

 こいつが、カズキをいじめていた主犯格、、、
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