最強少女は男装幹部
 ムッと顔引き締めていると、唐突に扉が開いた。

 バンッと大きな音が鳴り、思わず肩が上がってしまう。

 本当に僕って、幹部らしくないなぁ。

ビビリな自分に呆れながら、例の転校生に目を向ける、、、


 その瞬間、世界が灰色になったような気がした。

転校生の姿だけが鮮明に彩られ、鮮やかに光を放つ。

 まるで、美術品が動いているようだ。

 足りない語彙力で、なんとかその美しさを表そうとする。

 教卓に向かって歩く彼の姿は、本当に完璧なのだ。


 完璧な球体がないように、完璧な造形の人間もいない。

そんな今までの常識が、覆された気がした。

 顔が完全に左右対称だと言われた過去の偉人さえも、指をくわえる骨格。

長く細い脚は、まるでモデルのようにスラっとしている。

顔は浮世離れした綺麗さで、思わず息を飲んでしまう。
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