最強少女は男装幹部
 少し吊り気味な目元は、猫っぽい。

 その中に閉じ込められた瞳は、昏いのにも関わらず夜空にも負けない魅力を含んでいる。

ブラックホールのように吸い込まれる、天性の瞳。

 それを目の当たりにしたのは、人生で初めてな気がした。


 鼻筋はスッと通っており、外国人のように鼻が高い。

 整った唇は、桃色に艶めいている。


 濡羽色の髪の毛は、カラスのような青や紫っぽい上品な艶を放っている。

 枝毛やアホ毛は一本もなく、綺麗にまとめられていた。

 メンズのウルフカットは、彼に異常なほど似合っている。

 
 申し訳程度に付けられた耳元の黒いピアスは、よくあるリングピアス。

シンプルながらも、彼が身につけるだけで高級品に見えてしまうのは仕方がない。

 
 来ている服は、ただの制服。

その上に黒いパーカーを重ね、チャックは全開だった。

 あまり見かけない重ね合わせに、これまた才能を感じる。

女子生徒は制服の方が可愛いと言い、男子生徒は制服の方が他校がビビるという。

その為、殆どの生徒が制服を着てきていた。

 
 そんな中、黒いパーカーは目立つことだろう。

しかし、彼は目立っても逆に違和感がない。

目立つことがピッタリくる、という方が正しいが。
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