最強少女は男装幹部

 「えーと、おはよう。今日は早速ニュースがある。」

 今日から私の担任となる、古橋の声が扉越しから聞こえてくる。

 朝8時30分から始まるHRで、私は紹介される手筈だった。


 先ほど職員室に行った際に、事前に事情は話していた。

 私は性同一性障害者であり、誰にも言わないで欲しい、と。


 本当に、当事者の人たちには申し訳ない。まあバレなきゃいいのだが。

 私は最低で非人道的な人間だ。幾らでも言え。ネットで拡散したら炎上必須だが。

 
 担任は若い世代の人だった様で、無事理解を示してもらうことができた。

運が良かったな、と思いながら扉の先で待機する。

 少しそわそわしながら、辺りを見回す。

 廊下には私以外誰もいなく、独りだけポツンと立っていた。


 この教室内に、百鬼夜行の幹部以上はいるのだろうか、、、

淡い期待が、胸にホワホワと充満していく。

 居たら急接近して、他のメンバーにでも会わさせてもらおう。

他クラスにいたら、、、その時はその時だ。


 ふぅ、と小さく息を吐く。

ここから先は、やり直しがきかない。

脳内シュミレーションは何回も繰り返したから、大丈夫だとは思うが。

 夜の街で不良の扱いには慣れているので、そこそこの自信はある。
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