最強少女は男装幹部
 今度はいい意味のお花を纏わせたリンを見て、少しだけ気持ちが和らぐ。

類は友を呼ぶ、ということで最近は悪い奴としか絡んでいなかった。

 しかし、良い子と絡むといつもとは違う楽しさがあった。

この子といると、周りの喧騒を忘れるような、平和な空間を堪能できる。


 癒し枠の可愛い系男子を見て、心も体も癒されてきた。

あれだ。癒しデトックスだ。

 体の毒素が抜かれていき、疲労が和らいでいく。

この子は私にとっての薬だ。ずっと側にいてほしい。


 ぽけーっと酒と似ている、ぽわぽわとした気分になる。

酒は百薬の長。癒し系男子も百薬の長、ということだろうか。

 本来の目的を忘れ、ただの他愛のない話を繰り広げそうになる。


 しかし、忘れてはいけない。

私の本当の目的は、あくまで友達作りではない。

暴走族の内部に侵入し、組織を崩壊させることが真の目的だ。

 この子は多分、百鬼夜行と一切の関わりを持っていない。

噂だけ聞ければ、それで良いのだ。
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