最強少女は男装幹部
 「アカネくん、、、?こっちこないの?」

 キョトンとした顔で、リンが呼びかけてくる。

そうだ。まずは近づかなければ。

 攻撃されたら、やり返すだけだし。


 不良どもに警戒しながらも、輪に近づいて行く。

よく見ると、スナック菓子やエナジードリンク缶のゴミが散乱していた。

皆両手でスマホを握っているので、ゲームでもしていたのだろうか。


 リンの隣で足を止め、不良どもと視線を交わす。

お互い、誰コイツ?と思っていることだろう。

救いを求めるようにリンを見るが、なぜか緊張気みのようす。

キョロキョロと目線を彷徨わせ、言い出しづらそうにしていた。


 そこはリンから説明がくるところだろう。

なのにも関わらず、急にギクシャクしているではないか。

目もうるうるしているし、とても楽しそうには見えない。

 やはり、実はこの不良からいじめられていたとか、、、?


 誰も話し出さず、数秒の沈黙が続く。

不良たちは気まずそうに視線を交しあい、私を異物のように見る。

身内に突然入ってきた、全く知らない第三者への対応に困っているようだ。

なんだか私だけ仲間はずれみたいなの、やめてほしい。

 
 「おいリン。コイツ誰?」

 そんな気まずい沈黙を破ったのは、金髪野郎だった。

よく見ると、白人のような顔立ちをしている。

ハーフなのだろうか。目つきは悪く、こちらを睨みつけてくる。

軽く睨み返すが、怯む様子はない。


 「あ、転校生のアカネくん。で、アカネくん。えっと僕たちは、、、その、、、」

急に言い澱み、不良たちに救済の視線を送るリン。

最後まで言えよ、と思うが、可哀想なので黙ってあげる。

 気の利いた言葉など出せないし、あとは不良どもに支えて貰うしかない。
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