最強少女は男装幹部
 強く握った拳は、私の腹部にめがけて飛んできた。

 速く、俊敏でいて強い動き。

ただ、体の使い方が荒い。

何でもかんでも勢い任せ。力み過ぎているし、力の入り方も雑。

 子供の勢い任せのパンチの様だ。

 バカな戦い方、という感じ。


 そんな馬鹿な拳をヒョイっと躱し、逆にその腕を掴みとる。

そしてその腕をグイッと引き寄せ、力ずくで暴れても離せないほど、強く握りしめる。

そのまま片方の足を重心に、クルッと体を後ろに振り向かせる。

 その時に生まれた、遠心力に身をまかせる。

そのまま勢いを乗せ、ドンっとカズキを放り投げた。


 床に転がり落ちたカズキは、突然のことに目をパチクリとさせている。

そして急に顔を歪ませ、左腕を庇い出した。

 遅効性の痛みなのだろうか。それとも、馬鹿すぎて理解に時間がかかったとか?


 本当に一瞬のことで、あまり大きな力も使っていない。

ただし、床はコンクリートだ。そこに思いっきり叩きつけたのだから、普通に痛いだろう。

 カズキをもう一回見ると、腕をさすっていた。


 骨折はしていなかったのか。残念。


 「アカネの勝利。ってことで、まあお前は今日からうちの幹部だ。不服だが」

 ジンが公平な審判を下した後、私の就任を決定してくれた。

最後の一言は余計だが、計画は無事成功。

 「これからは仲間ってことか。改めてよろしくな、リン」

赤茶の後ろにいたリンに声をかけると、リンは嬉しそうに頷いてくれる。

 そして、気恥ずかしそうに微笑みながらこう言った。

 「おめでとう、アカネくん。これからは君も僕たちの仲間だ!」

 
 
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