最強少女は男装幹部

 いつも通り昼過ぎに起きた頃には、両親は既に居なかった。

昔っからのことだが、良い加減僕にも目を向けてほしい。

 殆どもう吹っ切り、傷つかなくはなった。

しかし、まだ思うところがあるのが子供心というものだ。


 愛して欲しいと醜く嘆くことはやめた。

ただ、嘆くことはやめたとしても、心は奥でひっそりと叫んでる。

 『僕を見て』と。

 
 敷き布団から起き上がり、大きく伸びをする。

 朝からの憂鬱も全部、あくびと共に吐いてしまえ。

そう思いながら欠伸をこぼしたが、相変わらず心はスッキリしなかった。


 自室を出てダイニングテーブルを確認しても、朝食は置かれていない。

これもいつもの事。これからコンビニに向かえば良いだけ。

 乾ききった感情を乗せたまま、身支度を済ませる。

制服を乱そうと思っても、変な気がして真面目に規則通り着る。

所詮、不良のフリをしている高校生だ。

 髪だって金髪にしようと思っても、いざという時に怖気付いてしまう。

そのせいで、万年灰色という微妙なラインをたどっている。
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