最強少女は男装幹部
 なんとか思考を切り替え、チラつくグロシーンに目を背ける。

 平然とした様子を取り繕いながらも、包装を撮る手は震えていた。

 ゆっくりとサンドウィッチを中から取り出し、一口、二口と食べ進めていく。

 過度な緊張のせいで、味の情報が上手く脳まで伝わらない。


 本当に、アカネくんと喋ったのはいつぶりだろう。

今までずっと話していなかったせいで、切り出し方もわからない。

 噂は本当なの?

その一言が、どうしても喉に引っかかってしまう。


 アカネくんはきっと、僕を嫌っている。

そう自覚しようとすればするほど、胸が苦しくなっていく。

そんな苦しみから逃げるため、僕がアカネくんを避けているというシナリオを作り上げたのも、とっくに自覚している。

 自分を騙したかった僕が、アカネくんのような善人と話して良いのか。


 悶々と考える中、隣に座るアカネくんを見てみる。

 どうやらアカネくんもおにぎりを食べ始めたようで、海苔を地面にボロボロと落としていた。

少し汚いが、それすらも謎の魅力に変換されてしまう。

 やはり横顔は絵に描いたように綺麗で、見惚れてしまう。
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