追放された聖女を待ち受けていたのは、エリート魔法師団長様との甘やかな実験の日々でした
……誰だろう? 初めてお会いする方だと思うけど……?
見覚えのない顔に疑問を感じながらも、あまりの差し迫った態度にわたしはそろりと手を上げた。
出入口付近にいた人からも居場所を聞いたらしい男性は、わたしの姿を認めると、もの凄い勢いで歩み寄ってくる。
「貴女がティナさんですか?」
「は、はい! どなた様でしょうか?」
「失礼、僕は宮廷魔法師団で団長補佐官を務めるサウロ・カーヴェルと申します」
「団長補佐官様、ですか……?」
「はい。レイビス団長の部下です」
その一言に胸がドクンと大きな音をたてた。
レイビス様の部下の方がこんなにも悲壮感を漂わせた顔で、ほかでもない処置室を訪ねてきている。
この事実にそこはかとない嫌な予感を感じずにはいられなかった。
「どうか貴女のチカラを貸してください! 団長が、団長が……!」
「………ッ!」
聞きたくなかった台詞に言葉が詰まった。
わたしのチカラ、つまり治癒魔法を必要とするような事態にレイビス様は陥っているということだろう。
みるみる私の顔から血の気が引いていく。
「い、今のわたしにはチカラが……」
「知っています。でも少し反応があったと聞きました。ほんの僅かでも可能性があるならそれに賭けたいんです! でなければ団長は……おそらく助からない……」
息の根が止まるような心地がした。
頭を殴られたようなショックが全身を貫き、わたしは呆然と立ちすくむ。
そんなわたしに歩み寄る人がいた。
ラモン先生だ。
見覚えのない顔に疑問を感じながらも、あまりの差し迫った態度にわたしはそろりと手を上げた。
出入口付近にいた人からも居場所を聞いたらしい男性は、わたしの姿を認めると、もの凄い勢いで歩み寄ってくる。
「貴女がティナさんですか?」
「は、はい! どなた様でしょうか?」
「失礼、僕は宮廷魔法師団で団長補佐官を務めるサウロ・カーヴェルと申します」
「団長補佐官様、ですか……?」
「はい。レイビス団長の部下です」
その一言に胸がドクンと大きな音をたてた。
レイビス様の部下の方がこんなにも悲壮感を漂わせた顔で、ほかでもない処置室を訪ねてきている。
この事実にそこはかとない嫌な予感を感じずにはいられなかった。
「どうか貴女のチカラを貸してください! 団長が、団長が……!」
「………ッ!」
聞きたくなかった台詞に言葉が詰まった。
わたしのチカラ、つまり治癒魔法を必要とするような事態にレイビス様は陥っているということだろう。
みるみる私の顔から血の気が引いていく。
「い、今のわたしにはチカラが……」
「知っています。でも少し反応があったと聞きました。ほんの僅かでも可能性があるならそれに賭けたいんです! でなければ団長は……おそらく助からない……」
息の根が止まるような心地がした。
頭を殴られたようなショックが全身を貫き、わたしは呆然と立ちすくむ。
そんなわたしに歩み寄る人がいた。
ラモン先生だ。