追放された聖女を待ち受けていたのは、エリート魔法師団長様との甘やかな実験の日々でした
脳裏にはレイビス様との実験の日々が浮かぶ。
反応を感じたあの日、確かに試した恋人行為のすべてで発動の兆しがあった。だからきっとわたしの恋心が要因なのだろうと考えていた。
でもよくよく思い返してみれば、あの時他のものよりも強く反応を感じた行為があったように思う。
……それならアレを試すしかないわ!
レイビス様を助けるためならなんだってする、わたしはその覚悟だ。
騎士団長様とサウロ様の視線が気になるが、一刻を争う事態に呑気なことは言っていられない。
わたしは可能性に賭けるべく、手をギュッと固く握ったまま、レイビス様の顔を覗き込んだ。
精巧に作られた彫刻のように整った顔は、今この時も相変わらず美しいが、血を失い顔色は青白い。
瞼は閉じられていて、吸い込まれるようなあの輝くエメラルドの瞳が隠れているのが寂しかった。
……レイビス様、目を覚ましてください。もう一度その瞳でわたしを見て……!
わたしはそう念じながら、体を折り曲げて、レイビス様の顔に自分の顔を寄せる。
そしてそっと彼の唇に口づけた。
柔らかな感触はこの前と同じだ。
だけど、レイビス様の唇には以前のような熱はなかった。
その事実に胸が引き裂かれそうになる。
まるでレイビス様そっくりに作られた人形にキスをしているような錯覚に陥り、言い表しようのない物悲しさに、瞼の裏に熱いものがこみあげてきた。
さらにわたしに絶望感を与えるのは、これでも治癒魔法が発動しないという結果だ。
……口づけを試せばもしかしてと思ったのに……。もう手がないわ……。
なぜ治癒魔法は発動してくれないのか。
今目の前に心から助けたいと思う人がいるのに。
こんな時に使えないなんて、なにが奇跡のチカラなのか。
唯一の肉親である父や母を助けられず、そして今、初めて恋しく思った大切な人も救えない。
無力な自分が悔しくて、許せなくて、不甲斐なくて。
鼻の奥がツンと痛み、目の縁からは涙が染み出てきた。溢れ出した熱い涙は頬を伝う。
反応を感じたあの日、確かに試した恋人行為のすべてで発動の兆しがあった。だからきっとわたしの恋心が要因なのだろうと考えていた。
でもよくよく思い返してみれば、あの時他のものよりも強く反応を感じた行為があったように思う。
……それならアレを試すしかないわ!
レイビス様を助けるためならなんだってする、わたしはその覚悟だ。
騎士団長様とサウロ様の視線が気になるが、一刻を争う事態に呑気なことは言っていられない。
わたしは可能性に賭けるべく、手をギュッと固く握ったまま、レイビス様の顔を覗き込んだ。
精巧に作られた彫刻のように整った顔は、今この時も相変わらず美しいが、血を失い顔色は青白い。
瞼は閉じられていて、吸い込まれるようなあの輝くエメラルドの瞳が隠れているのが寂しかった。
……レイビス様、目を覚ましてください。もう一度その瞳でわたしを見て……!
わたしはそう念じながら、体を折り曲げて、レイビス様の顔に自分の顔を寄せる。
そしてそっと彼の唇に口づけた。
柔らかな感触はこの前と同じだ。
だけど、レイビス様の唇には以前のような熱はなかった。
その事実に胸が引き裂かれそうになる。
まるでレイビス様そっくりに作られた人形にキスをしているような錯覚に陥り、言い表しようのない物悲しさに、瞼の裏に熱いものがこみあげてきた。
さらにわたしに絶望感を与えるのは、これでも治癒魔法が発動しないという結果だ。
……口づけを試せばもしかしてと思ったのに……。もう手がないわ……。
なぜ治癒魔法は発動してくれないのか。
今目の前に心から助けたいと思う人がいるのに。
こんな時に使えないなんて、なにが奇跡のチカラなのか。
唯一の肉親である父や母を助けられず、そして今、初めて恋しく思った大切な人も救えない。
無力な自分が悔しくて、許せなくて、不甲斐なくて。
鼻の奥がツンと痛み、目の縁からは涙が染み出てきた。溢れ出した熱い涙は頬を伝う。