追放された聖女を待ち受けていたのは、エリート魔法師団長様との甘やかな実験の日々でした
「……あ、あたくしがティナを訪ねたのは、ちょっとしたイタズラのためでしたの。勧めた紅茶には下剤を入れて、ちょっと困らせてやろうと思って」
「そのイタズラを提案したのは? 実際に下剤を混ぜたのは?」
「じ、侍女のオルガですわ……」
「下剤はどこから調達を? 本当に下剤だったと確証は?」
「入手したのはオルガですわね。下剤だったかは……わ、わかりません」
なんとこの件もどうやら侍女の企てのようだ。
ミラベル様にしてみれば、まさかこの出来事が治癒魔法と関係しているとは思いもしなかったのだろう。
「決まりだな。私に対する魔物寄せの件も、ティナから治癒魔法を奪った件も、侍女が真犯人だ」
つまり、ミラベル様は操られていたということだ。
何も知らず、ただ言われるがままに行動した結果、実行犯にされてしまったというわけである。
ようやくミラベル様もそれを悟ったらしく、愕然とした表情で項垂れた。
聞けば、件の侍女は聖女になった時に父親である侯爵様から付けられた者だったそうだ。
付き合いはまだ一年少々と短いものの、誰よりも心を許せる、なくてはならない存在だったという。
ポツリポツリと事情を語るミラベル様は、自分が実行犯となってしまったこと以上に、信頼していた侍女に裏切られていた事実に堪えている様子だった。
思わずわたしまで胸が痛くなる。
きっと相当なショックだろうと思うとつい同情心が芽生えた。
「同情すべき点はあるが、紛れもない実行犯だ。正式に身柄を拘束させてもらう。一旦我が領の牢に入ってもらうが、いずれ王都に移送されて、然るべき処罰が下される運びとなるだろう」
だが、まるでわたしに「罪は罪だ」と言い聞かせるように、レイビス様は心の芯まで凍る冷たい厳格な声でミラベル様に処遇を告げた。
そしてサウロ様を呼び寄せて、ミラベル様を連行させる。
……そうね、レイビス様の言う通りだわ。ミラベル様は無自覚だったとはいえ罪を犯したのだもの。同情による減刑など言語道断よね……。
連れられて行くミラベル様の後ろ姿を、わたしはなんとも言えない気持ちで見送ったのだった。
「そのイタズラを提案したのは? 実際に下剤を混ぜたのは?」
「じ、侍女のオルガですわ……」
「下剤はどこから調達を? 本当に下剤だったと確証は?」
「入手したのはオルガですわね。下剤だったかは……わ、わかりません」
なんとこの件もどうやら侍女の企てのようだ。
ミラベル様にしてみれば、まさかこの出来事が治癒魔法と関係しているとは思いもしなかったのだろう。
「決まりだな。私に対する魔物寄せの件も、ティナから治癒魔法を奪った件も、侍女が真犯人だ」
つまり、ミラベル様は操られていたということだ。
何も知らず、ただ言われるがままに行動した結果、実行犯にされてしまったというわけである。
ようやくミラベル様もそれを悟ったらしく、愕然とした表情で項垂れた。
聞けば、件の侍女は聖女になった時に父親である侯爵様から付けられた者だったそうだ。
付き合いはまだ一年少々と短いものの、誰よりも心を許せる、なくてはならない存在だったという。
ポツリポツリと事情を語るミラベル様は、自分が実行犯となってしまったこと以上に、信頼していた侍女に裏切られていた事実に堪えている様子だった。
思わずわたしまで胸が痛くなる。
きっと相当なショックだろうと思うとつい同情心が芽生えた。
「同情すべき点はあるが、紛れもない実行犯だ。正式に身柄を拘束させてもらう。一旦我が領の牢に入ってもらうが、いずれ王都に移送されて、然るべき処罰が下される運びとなるだろう」
だが、まるでわたしに「罪は罪だ」と言い聞かせるように、レイビス様は心の芯まで凍る冷たい厳格な声でミラベル様に処遇を告げた。
そしてサウロ様を呼び寄せて、ミラベル様を連行させる。
……そうね、レイビス様の言う通りだわ。ミラベル様は無自覚だったとはいえ罪を犯したのだもの。同情による減刑など言語道断よね……。
連れられて行くミラベル様の後ろ姿を、わたしはなんとも言えない気持ちで見送ったのだった。