追放された聖女を待ち受けていたのは、エリート魔法師団長様との甘やかな実験の日々でした
これは個人的にかなりの驚きだった。
まさかサラバン帝国の研究がそこまで進んでいたとは。
秘匿されていたらしいが、なんでもサラバン帝国にも数百年ぶりに聖女が現れたらしく、その女性を徹底的に調べたらしい。なお、その女性は人権のない扱いだったようで、道具の開発成功とほぼ時を同じくして自死したそうだ。実に帝国らしい横暴さである。
「その道具をミラベル嬢に与えたのはなぜだ?」
「もう大体は情報を掴んでいるんでしょ? なら、お分かりなんじゃないの?」
「まあな。だが、お前の口からぜひ直接聞かせてほしい」
もったいぶる口調の侍女に、あえて教えを請えば、彼女は拘束されつつもニンマリ笑う。
工作員として少なくとも一年以上、自分を押し殺してミラベル嬢の侍女を演じていたからか、彼女は実のところ話したくてしょうがなかったようだ。
「なぜミラベルなのかといえば、アレの父親がネイビア侯爵だからよ。彼は我が国の協力者、つまり密通者ね」
「……やはり、な」
「ネイビア侯爵は教会も味方に引き入れるために聖女を欲したの。我が国にとってもミラベルを聖女に仕立てれば、本物の聖女に近づいて暗殺しやすい利点があったから協力したのよ。で、私がミラベルの侍女として常に監視しつつ、暗躍してたってわけね」
ネイビア侯爵が密通者だったのは私たちの読み通りだった。彼こそ国境を行き来していた貴族リストに載っていた人物であるからだ。
侍女によると、治癒魔法を使える道具というのは指輪らしい。
その指輪をネイビア侯爵が娘に贈り、侍女はミラベル嬢が治癒魔法を行使する際に必ず指輪を付けさせるよう監視していたという。ミラベル嬢はチカラが紛い物だという真実も知らなかったそうだ。
ミラベル嬢が完全に操り人形だったという暴露話に、ティナは顔色を青くしている。親が子を道具のように利用するなど確かに顔をしかめたくなる話だ。
……この女の逃亡を防げたのは大きかったな。様々な新事実を掴むことができた。
さて、一連の騒動もいよいよ大詰めだ。
ティナとの新しい関係を築くためにも早々に蹴りをつけ、すべてを終わらせたい。
私は次の舞台となるであろう王都の方角を見据えるのだった。
まさかサラバン帝国の研究がそこまで進んでいたとは。
秘匿されていたらしいが、なんでもサラバン帝国にも数百年ぶりに聖女が現れたらしく、その女性を徹底的に調べたらしい。なお、その女性は人権のない扱いだったようで、道具の開発成功とほぼ時を同じくして自死したそうだ。実に帝国らしい横暴さである。
「その道具をミラベル嬢に与えたのはなぜだ?」
「もう大体は情報を掴んでいるんでしょ? なら、お分かりなんじゃないの?」
「まあな。だが、お前の口からぜひ直接聞かせてほしい」
もったいぶる口調の侍女に、あえて教えを請えば、彼女は拘束されつつもニンマリ笑う。
工作員として少なくとも一年以上、自分を押し殺してミラベル嬢の侍女を演じていたからか、彼女は実のところ話したくてしょうがなかったようだ。
「なぜミラベルなのかといえば、アレの父親がネイビア侯爵だからよ。彼は我が国の協力者、つまり密通者ね」
「……やはり、な」
「ネイビア侯爵は教会も味方に引き入れるために聖女を欲したの。我が国にとってもミラベルを聖女に仕立てれば、本物の聖女に近づいて暗殺しやすい利点があったから協力したのよ。で、私がミラベルの侍女として常に監視しつつ、暗躍してたってわけね」
ネイビア侯爵が密通者だったのは私たちの読み通りだった。彼こそ国境を行き来していた貴族リストに載っていた人物であるからだ。
侍女によると、治癒魔法を使える道具というのは指輪らしい。
その指輪をネイビア侯爵が娘に贈り、侍女はミラベル嬢が治癒魔法を行使する際に必ず指輪を付けさせるよう監視していたという。ミラベル嬢はチカラが紛い物だという真実も知らなかったそうだ。
ミラベル嬢が完全に操り人形だったという暴露話に、ティナは顔色を青くしている。親が子を道具のように利用するなど確かに顔をしかめたくなる話だ。
……この女の逃亡を防げたのは大きかったな。様々な新事実を掴むことができた。
さて、一連の騒動もいよいよ大詰めだ。
ティナとの新しい関係を築くためにも早々に蹴りをつけ、すべてを終わらせたい。
私は次の舞台となるであろう王都の方角を見据えるのだった。