追放された聖女を待ち受けていたのは、エリート魔法師団長様との甘やかな実験の日々でした
「ネイビア侯爵。貴様をサラバン帝国との密通および工作員の引き入れ、聖女偽りなどの罪で投獄する。国を守るべき貴族でありながら、自国を裏切る行為は決して許されない」
レイビス様が厳し声で罪状を告げると、騎士団長様がネイビア侯爵の後ろ手に回って手を捻り上げた。
「なっ……⁉︎ 誤解に違いありません! 私は罪など犯しておりませんゆえ!」
「無駄な足掻きは無用だ。すでにお前の娘や侍女になりすましていた工作員は牢屋の中だ。彼女達がすべて証言している以上、誤解などありえない」
娘や侍女が捕縛された事実はまだ知らなかったのだろう。逃げ切れると思って反論していたネイビア侯爵は、このレイビス様からの言葉によりへなへなと項垂れた。
これで一件落着かと思われたその時、来客としてこの場にいた人物が口を開く。
「魔法師団長様、このような場で私が発言するのはお門違いだと重々承知しておりますが、一つだけお許しいただけますでしょうか?」
「……ニコライ司教、か」
そう、この場にいたのはニコライ司教だったのだ。
今回の騒動の一翼でもある教会の関係者のためレイビス様は多少の警戒心を滲ませたものの、フィアストン領で懸命に怪我人の治療にあたる彼を見ているため、緊張を解き、発言を許可した。
「発言をお許しいただきありがとうございます。さすれば一つ、どうかネイビア侯爵の罪状に二十年前の罪も付け加えていただきたく存じます」
「二十年前の罪、だと……?」
「はい。二十年前、私の友はこの男の罪をなすりつけられ、冤罪を負わされたのです。投獄され、貴族籍は剥奪されました」
「その罪とは?」
「サラバン帝国との密通です。先程ミラベル様への事情聴取に同席させていただきましたが、その際に私はようやく真犯人に気づいたのです。この男は二十年前から敵国と通じております」
レイビス様が厳し声で罪状を告げると、騎士団長様がネイビア侯爵の後ろ手に回って手を捻り上げた。
「なっ……⁉︎ 誤解に違いありません! 私は罪など犯しておりませんゆえ!」
「無駄な足掻きは無用だ。すでにお前の娘や侍女になりすましていた工作員は牢屋の中だ。彼女達がすべて証言している以上、誤解などありえない」
娘や侍女が捕縛された事実はまだ知らなかったのだろう。逃げ切れると思って反論していたネイビア侯爵は、このレイビス様からの言葉によりへなへなと項垂れた。
これで一件落着かと思われたその時、来客としてこの場にいた人物が口を開く。
「魔法師団長様、このような場で私が発言するのはお門違いだと重々承知しておりますが、一つだけお許しいただけますでしょうか?」
「……ニコライ司教、か」
そう、この場にいたのはニコライ司教だったのだ。
今回の騒動の一翼でもある教会の関係者のためレイビス様は多少の警戒心を滲ませたものの、フィアストン領で懸命に怪我人の治療にあたる彼を見ているため、緊張を解き、発言を許可した。
「発言をお許しいただきありがとうございます。さすれば一つ、どうかネイビア侯爵の罪状に二十年前の罪も付け加えていただきたく存じます」
「二十年前の罪、だと……?」
「はい。二十年前、私の友はこの男の罪をなすりつけられ、冤罪を負わされたのです。投獄され、貴族籍は剥奪されました」
「その罪とは?」
「サラバン帝国との密通です。先程ミラベル様への事情聴取に同席させていただきましたが、その際に私はようやく真犯人に気づいたのです。この男は二十年前から敵国と通じております」