追放された聖女を待ち受けていたのは、エリート魔法師団長様との甘やかな実験の日々でした
そう問いかけられ、ネイビア侯爵邸で侯爵が連行されていった後に私達が交わした会話を思い浮かべる。
あの時、ニコライ司教はある考察を口にしたのだ。
「わたしが桁違いに魔力量が多い治癒魔法の使い手なのは、もしかしたら貴族と平民の間に生まれた子だからかもしれない、という考察ですよね?」
「なかなか面白い着眼点だと思わないか? 貴族、平民と身分に分け隔てなく治癒を施し、多くの人々を癒し救うために、貴族と平民の間に生まれた子に魔力量が多いのかもしれないな」
スタンピートが起き、多くの怪我人が出た中、わたしが取り戻した治癒魔法を使って人々を癒す姿を見て、ニコライ司教はそう思ったらしい。
本来このチカラは純粋な心でこうして多くの人々を救うためにあるのでは、と。
残念ながら教会は自分たちの権威を高めるためだけに利用してしまっていたけれど、と悲しそうに述べながら。
「歴史上数が少ないゆえに聖女のチカラは分かっていないことばかりだ。当然その出自も明らかにされていない。そもそも聖女とは貴族と平民の間にしか生まれないのかもしれないな」
「そうなのでしょうか?」
「可能性はあると思う。この国だけに限らず大陸では貴族と平民には明確に身分差があり、その両者が子をなす事例などほぼ皆無だ。であれば、その極少ない事例で聖女が生まれていると考えれば辻褄は合う」
新たに導き出された仮説に、心なしかレイビス様の瞳が爛々としている気がした。
研究熱に火が灯って、また手段を選ばず興味だけで突き進むのではと少し心配になる。
「面白い仮説だろう? ぜひ研究してみたいからティナには協力してほしい」
案の定な言葉にわたしはなんだか可笑しくなってきて、笑みを零す。
外見も、家柄も、能力も完璧な人なのに、こういう時に可愛いと思わせるのはズルイと思う。
あの時、ニコライ司教はある考察を口にしたのだ。
「わたしが桁違いに魔力量が多い治癒魔法の使い手なのは、もしかしたら貴族と平民の間に生まれた子だからかもしれない、という考察ですよね?」
「なかなか面白い着眼点だと思わないか? 貴族、平民と身分に分け隔てなく治癒を施し、多くの人々を癒し救うために、貴族と平民の間に生まれた子に魔力量が多いのかもしれないな」
スタンピートが起き、多くの怪我人が出た中、わたしが取り戻した治癒魔法を使って人々を癒す姿を見て、ニコライ司教はそう思ったらしい。
本来このチカラは純粋な心でこうして多くの人々を救うためにあるのでは、と。
残念ながら教会は自分たちの権威を高めるためだけに利用してしまっていたけれど、と悲しそうに述べながら。
「歴史上数が少ないゆえに聖女のチカラは分かっていないことばかりだ。当然その出自も明らかにされていない。そもそも聖女とは貴族と平民の間にしか生まれないのかもしれないな」
「そうなのでしょうか?」
「可能性はあると思う。この国だけに限らず大陸では貴族と平民には明確に身分差があり、その両者が子をなす事例などほぼ皆無だ。であれば、その極少ない事例で聖女が生まれていると考えれば辻褄は合う」
新たに導き出された仮説に、心なしかレイビス様の瞳が爛々としている気がした。
研究熱に火が灯って、また手段を選ばず興味だけで突き進むのではと少し心配になる。
「面白い仮説だろう? ぜひ研究してみたいからティナには協力してほしい」
案の定な言葉にわたしはなんだか可笑しくなってきて、笑みを零す。
外見も、家柄も、能力も完璧な人なのに、こういう時に可愛いと思わせるのはズルイと思う。