追放された聖女を待ち受けていたのは、エリート魔法師団長様との甘やかな実験の日々でした
わたしを見つめるエメラルドの瞳に、少し緊張が宿っているように感じるのは気のせいだろうか。

相変わらずレイビス様は無表情で顔色からは感情を読みづらいけれど、意外と彼の瞳は雄弁だ。

レイビス様も実は内心ソワソワしているのかもと思うとわたしも勇気が出た。

だからわたしは思わず大胆な行動に走る。

かかとを上げてつま先だけで立つと、背伸びしてレイビス様の唇に、自分の唇を重ねた。

チュッという軽い音と共に顔を離し、彼を見上げて告げる。

「わたしも一生涯レイビス様と共にありたいです。愛しています」

恥ずかしさよりも愛を贈りたい気持ちが上回り、わたしは包み隠さず想いを素直に伝えた。

わたしを見つめるエメラルドが一瞬見開いたかと思うと、ふっとその瞳が突然消える。

なぜならレイビス様に口づけを落とされ、視界を塞がれてしまったからだ。

その口づけは今までとは違って、深く深く重なり合う。唇の隙間から侵入した舌が柔らかく絡みついてきて、わたしから呼吸を奪った。

息もつけぬほどの熱い口づけにとろけそうになる。

唇を通してレイビス様の心の内にあるわたしへの愛情が伝わってくるようだった。

私たちは夕日を浴びながら、辺りが真っ暗になるまで何度も何度もキスを交わした。

明日からしばらく会えないだろう分を補充するかのように。

こうして長い長い一日は、甘くて優しくて情熱的なひと時で締め括られたのだった。
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