追放された聖女を待ち受けていたのは、エリート魔法師団長様との甘やかな実験の日々でした
この予想外の事態に、レイビス様の研究心に火がつく。「ではこれはどうか?」と次々にこれまで行ってきた実験を試していくことになった。

抱きしめたり、触れたり、見つめ合ったり……結論から言えば、なんとそのすべてで反応が見られる結果となった。

「これは一体どういうことだ……?」

思いもよらなかった結果が出て、レイビス様はすっかり研究者の顔で考察に忙しいようだ。

ぶつぶつ独り言を呟いて、ああでもないこうでもないと考えを巡らせている。

「なぜこれまで反応がなかった行為に、今日は反応を得られたんだ? 今までとなにが違った?」

レイビス様が自問自答する声を漏れ聞いて、わたしはある一つの事実に思い当たる。

今までと今日の違いといえばアレしかない。

 ……わたしがレイビス様へ恋心を抱いたのが影響しているということ……?

「なにか君に心当たりはないか?」

その時、しばらく思案に沈んでいたレイビス様がふと顔を上げてわたしへ問いかけてきた。

その質問にわたしはギクリと体をこわばらせる。

ほかでもないレイビス様からの質問であれば、偽りなくすべてを答えたい。

 ……だけど、これは……。

「あなたに恋をしています」とはとても言えない。この想いだけは本人に知られたくなかった。

「……わたしにもわかりません」

結局こう答えるしかなかった。

好きな人に嘘をつくこととなり、罪悪感から胸が痛む。

ついに待望の反応を得られ、実験は明るい兆しが見えてきた。

一方で、恋心と治癒魔法に関係がありそうだという事実にわたしは戸惑いを隠せないのであった。
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