追放された聖女を待ち受けていたのは、エリート魔法師団長様との甘やかな実験の日々でした
……この白の衣を纏っていた頃のティナは、きっとよく似合っていたのだろうな。
ミラベル嬢を前にしながらも、私は脳裏にティナを思い浮かべていた。
聖女であった頃のティナを知らない私だが、実際にこの衣を目にして、彼女にぴったりな衣装だと感じた。
この純白は、人を想う優しい心と清純な雰囲気を纏うティナにこそ相応しい。あの薄桃色の髪にも映えるだろう。
「はじめまして。お会いするのは初めてですね。……ですが、ミラベル嬢の噂は色々耳にしていますよ」
「まあ! レイビス様があたくしを知ってくださっているの⁉︎ 感激ですわ!」
応接間のソファーに腰掛け向かい合い、私は丁寧な言葉遣いを意識してミラベル嬢に話し掛ける。
どう頑張っても微笑みを作るのは無理そうなため、せめて話し方だけはと取り繕ってる次第だ。相手の警戒を解く狙いである。
功を奏したのかミラベル嬢は非常に上機嫌で、浮かれ気味にも見える。
なお、この応接間内には私とミラベル嬢、そしてそれぞれの付き人であるサウロと侍女の四人しかいないのだが、実は部屋の外には警戒にあたっている騎士が複数控えていた。魔法を駆使した防諜対策も施されている。
「飲み物はフィアストン産の茶葉で淹れたダージリンティーでよろしいですか? お好みに合えば良いのですが」
「ええ、ダージリンティーは大好きですわ! わざわざフィアストン産の茶葉をご用意くださったなんて!」
別にわざわざこのために用意したわけではないが、気分を良くしているようなので、余計なことは言わないでおいた。私は無言で軽く頷くだけに留める。
そうしているうちに、サウロが熟練執事並みの手捌きで紅茶を準備し、ニコリと感じの良い微笑みを向けてミラベル嬢に給仕してくれた。
「とっても美味しいですわね。風味豊かで心が落ち着きますわ」
私は紅茶に口をつけながら、悟られない程度に目の前の女を観察する。ティーカップを持ち上げて香りと味わいをじっくり堪能しているミラベル嬢に今のところ怪しい言動はない。
その時、後ろに控えていた侍女がミラベル嬢に近寄り、何かをこそっと耳打ちした。
言われてなにかを思い出したらしいミラベル嬢は「そうだったわ!」と手をポンと軽く叩く。
ミラベル嬢を前にしながらも、私は脳裏にティナを思い浮かべていた。
聖女であった頃のティナを知らない私だが、実際にこの衣を目にして、彼女にぴったりな衣装だと感じた。
この純白は、人を想う優しい心と清純な雰囲気を纏うティナにこそ相応しい。あの薄桃色の髪にも映えるだろう。
「はじめまして。お会いするのは初めてですね。……ですが、ミラベル嬢の噂は色々耳にしていますよ」
「まあ! レイビス様があたくしを知ってくださっているの⁉︎ 感激ですわ!」
応接間のソファーに腰掛け向かい合い、私は丁寧な言葉遣いを意識してミラベル嬢に話し掛ける。
どう頑張っても微笑みを作るのは無理そうなため、せめて話し方だけはと取り繕ってる次第だ。相手の警戒を解く狙いである。
功を奏したのかミラベル嬢は非常に上機嫌で、浮かれ気味にも見える。
なお、この応接間内には私とミラベル嬢、そしてそれぞれの付き人であるサウロと侍女の四人しかいないのだが、実は部屋の外には警戒にあたっている騎士が複数控えていた。魔法を駆使した防諜対策も施されている。
「飲み物はフィアストン産の茶葉で淹れたダージリンティーでよろしいですか? お好みに合えば良いのですが」
「ええ、ダージリンティーは大好きですわ! わざわざフィアストン産の茶葉をご用意くださったなんて!」
別にわざわざこのために用意したわけではないが、気分を良くしているようなので、余計なことは言わないでおいた。私は無言で軽く頷くだけに留める。
そうしているうちに、サウロが熟練執事並みの手捌きで紅茶を準備し、ニコリと感じの良い微笑みを向けてミラベル嬢に給仕してくれた。
「とっても美味しいですわね。風味豊かで心が落ち着きますわ」
私は紅茶に口をつけながら、悟られない程度に目の前の女を観察する。ティーカップを持ち上げて香りと味わいをじっくり堪能しているミラベル嬢に今のところ怪しい言動はない。
その時、後ろに控えていた侍女がミラベル嬢に近寄り、何かをこそっと耳打ちした。
言われてなにかを思い出したらしいミラベル嬢は「そうだったわ!」と手をポンと軽く叩く。