追放された聖女を待ち受けていたのは、エリート魔法師団長様との甘やかな実験の日々でした
「先生、ティナさん。先程の話はお聞きになりましたよね? 避難指示が出ているとはいえ……おそらくこれから以前のオレのような怪我人が多数発生すると思います」
ごくりと生唾を呑む。
魔物の暴走と聞いた時からそういった事態は覚悟していたが、やはり不安による緊張で体が強張った。
「先生やティナさんももちろん安全な場所へ避難されますよね……? ここは魔物の突進に耐えうる頑丈さはありませんし」
「いや、ワシはここに残る。治療を必要とする者が発生するなら尚更じゃ。ここには必要な道具や薬なども揃っておるからのう」
ラモン先生は一寸の迷いもなく、即座に言い切った。その瞳には覚悟が宿っている。
「ワシは追い先も短いからそれでいい。じゃが、まだ若いお前さんはワシに付き合う必要はないでのう。安全なところへ逃げなさい」
隣のわたしに視線を向けたラモン先生は、孫娘に大切な心得を言い聞かせるような面持ちで言葉を紡ぐ。優しい眼差しからわたしを気遣う気持ちが伝わってきた。
その心遣いに感謝をしつつも、わたしはその提案を振り払うように首を振った。
「いえ、わたしもここに残ります。怪我で苦しむ人がいるとわかっていて放っておけません」
治癒魔法が使えないわたしでは、できることは少ないだろう。応急処置を施し、ラモン先生を手伝うことしか役に立てない。
それでも今わたしにできる最大限を尽くしたいと思う。
これは聖女として十年もの間、治癒活動に携わってきた者の一種の使命感なのかもしれない。
「お二人共、きっとそう言うだろうと思っていました。だからオレはここへ来たんです。……オレも先生とティナさんを手伝います!」
わたしがこの場に残る決意を告げると、ラモン先生はやれやれと肩を落としつつも、我儘な孫娘を見守る慈愛に満ちた表情を浮かべた。
そしてわたしの発言に反応したのはラモン先生だけではない。なぜかアーサーさんが突然突拍子もない宣言を始めた。
これにはわたしもラモン先生もびっくりで、思わず顔を見合わせてしまう。
ごくりと生唾を呑む。
魔物の暴走と聞いた時からそういった事態は覚悟していたが、やはり不安による緊張で体が強張った。
「先生やティナさんももちろん安全な場所へ避難されますよね……? ここは魔物の突進に耐えうる頑丈さはありませんし」
「いや、ワシはここに残る。治療を必要とする者が発生するなら尚更じゃ。ここには必要な道具や薬なども揃っておるからのう」
ラモン先生は一寸の迷いもなく、即座に言い切った。その瞳には覚悟が宿っている。
「ワシは追い先も短いからそれでいい。じゃが、まだ若いお前さんはワシに付き合う必要はないでのう。安全なところへ逃げなさい」
隣のわたしに視線を向けたラモン先生は、孫娘に大切な心得を言い聞かせるような面持ちで言葉を紡ぐ。優しい眼差しからわたしを気遣う気持ちが伝わってきた。
その心遣いに感謝をしつつも、わたしはその提案を振り払うように首を振った。
「いえ、わたしもここに残ります。怪我で苦しむ人がいるとわかっていて放っておけません」
治癒魔法が使えないわたしでは、できることは少ないだろう。応急処置を施し、ラモン先生を手伝うことしか役に立てない。
それでも今わたしにできる最大限を尽くしたいと思う。
これは聖女として十年もの間、治癒活動に携わってきた者の一種の使命感なのかもしれない。
「お二人共、きっとそう言うだろうと思っていました。だからオレはここへ来たんです。……オレも先生とティナさんを手伝います!」
わたしがこの場に残る決意を告げると、ラモン先生はやれやれと肩を落としつつも、我儘な孫娘を見守る慈愛に満ちた表情を浮かべた。
そしてわたしの発言に反応したのはラモン先生だけではない。なぜかアーサーさんが突然突拍子もない宣言を始めた。
これにはわたしもラモン先生もびっくりで、思わず顔を見合わせてしまう。