とある年の差カップルのほのぼのな日常
アパートに帰り、早速弁当を食べた我成。

「………ん!旨っ!!」

優しくて、温かい味がした。
何というか……愛情を食べているような感覚だ。

そしてそれと同時に、梅乃の笑顔が蘇った。
綺麗で、安心する笑顔だった。

“また、あの人に会いたい”

我成は、そんな感情に支配されていた。


次の日早速我成は、弁当屋に向かった。

「いらっしゃい……あ!」
梅乃が我成に気づき、ふわりと笑った。

「あ…あの、感想伝えに来ました……!」
ガラにもなく、緊張していた。

「ありがとうございます!
わざわざ、すみません!」

「……/////」
この時既に我成は、梅乃に心を奪われていた。

「それで……どう…でした?」

「あ…//////
凄く、美味しかったです!
なんてゆうか…優しくて、温かくて……!
バランスも良いし、ヘルシーなのにお腹にちゃんとたまるし!」

「フフ…良かった!
ありがとうございました!」

「あ、いや、お礼を言うのは俺の方です!
ご馳走様でした!」

頭を下げると、梅乃は嬉しそうに笑っていた。


それから我成は、ほぼ毎日弁当屋に通った。

我成が試食した弁当は、ミサコと一緒に考えた弁当らしく、その後すぐに商品化され“ミサ梅弁当”と名付けられた。

更にすぐに人気の弁当になり、今ではNo.1の弁当だ。

我成は常連客になっていて、必ずミサ梅弁当を頼むので、一つキープまでしてもらえるまでになっていた。

我成は充実した日々を送っていた。

“弁当屋に行けば梅乃に会える”
それが毎日楽しみで、幸せだった。

そんな生活を半年続けた頃………

『いらっしゃい……あ!貫地谷くん!
今日も、ありがとう!』
ミサコが対応する。

『はい!
いつもの、お願いします!』

『はーい!ミサ梅ね!』

『…………あれ?
月原さんは?』

『あ…梅ちゃん、体調崩したらしくて……』

『え!?大丈夫なんですか!?』

『えぇ。風邪を引いたって』

『そうですか…
……………大丈夫かな……』

『………』

我成の呟きを、意味深に見つめるミサコ。

『…………あ、会計ですよね』
そう言って、スマホで電子決済しようとすると……

『貫地谷くん、大学何時終わり?』

『え?
17時過ぎですが…』

『それからは、忙しい?』

『いえ…』


『じゃあ…お願いがあるの―――――――』


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