とある年の差カップルのほのぼのな日常
スマホを片手に、アパートを探している我成。
もう片方の手には、ビニール袋がぶら下がっている。

「…………あ、あれ…か…な?」

“梅ちゃんに飲み物とお惣菜持ってってほしいの。お願い出来る?”

そう言われ我成は、ミサコに住所を聞いてスマホで調べ、梅乃の住むアパートに向かっていた。

「二階の、一番奥って言ってたよね」

そして、少し緊張した面持ちでチャイムを鳴らす。

少し間があって、ガチャ…とゆっくり玄関ドアが開いた。
「あ…月原さん?」

「貫地谷…く……」

マスクをした梅乃が、ふらつきながら顔を出した。

「だ、大丈夫ですか!?
これ……」

「あ…わざわざ…ありがと…ござい…す…」

かなり具合が悪いのか、袋を持つ手に力がない。

「あ、あの…俺、なんかしましょうか?
病院、行きました?」

「ん…大丈…夫です…
病院、行きました、ので…
うつしたらいけないので、これで…
お礼はまた…」

そう言って、またゆっくり玄関ドアを閉めた。

「…………大丈夫かな…」

もし、恋人だったら………
無理矢理にでも中に入って、看病するのに………

そんなことを考えながら(……って、俺みたいなガキ、相手にされないか…)と自嘲気味に笑って去ろうとする。

すると…………

ガタン…!!!
何かが倒れる音が、梅乃の家の方から響いてきた。

「え……今、の…」

まさか―――――――

我成は駆け出し、梅乃の玄関ドアを何度もノックした。
「月原さん!月原さん!
大丈夫ですか!?」

ドアノブに触れると、鍵が開いていてドアを勢い良く開ける。

梅乃が、倒れていた。

「月原さん!?」

頬に触れると、かなりほてっている。
我成は梅乃を抱き上げ、中に入った。

ベッドに寝かせ、布団をかける。

我成は辺りを見渡し、一度アパートを出た。
そして数分後、パンパンのビニール袋をぶら下げ戻ってきた。

梅乃の額に、冷却ジェルを貼る。
そして、ゆっくり頭を撫でた。

買ってきたゼリーや、ミサコから受け取った惣菜などを冷蔵庫にしまう。

ベッドの下にあぐらをかいて座り、ずっと梅乃の頭を撫でていた。


しばらくすると、梅乃が目を覚ました。


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