とある年の差カップルのほのぼのな日常
「………っ…」

梅乃は我成の方に行こうとして、躊躇した。

自分の身なりが、あまりにもダサかったからだ。

三角巾に、エプロン。
髪の毛はひとつ結びで、化粧も取れかけている。

(せめて、化粧直ししてから来るんだった……)

やっぱり、明日出直そう。

そう思い、踵を返すと………

「………え…月原さん!?」

我成が、梅乃の存在に気づいた。
ビクッと震えて、ゆっくり振り返る梅乃。

「月原さん!」

「あ…こ、こんにちは…」

嬉しそうに駆け寄って来る、我成。
その笑顔に、梅乃も嬉しくなる。

「どうしたんですか?
もしかして、俺に会いに来てくれたとか?(笑)」

「あ…///////」

「………って、自意識過剰ですよね…(笑)
すみません、いい加減往生際が悪いですよね……」

「――――――貫地谷くんに会いに来る以外、ここに来る理由ないです」

自嘲気味に笑う我成に、梅乃は真っ直ぐ見上げて言った。

「え…//////」

「貫地谷くんのこと、信じてみようと思って」

「そ、それって…//////」

「今日、いつものお弁当用意して待ってます」

頭を下げ、駆けていった。


その日、いつものように接客していると……

「いらっしゃい……あ…!//////」

「月原さん!
“いつもの”お願いします!」
我成が来店してきた。

「フフ…はい!」
梅乃は弁当をビニール袋に入れ、小さな手紙と一緒に渡した。

「返事、待ってます!」

「え?
…………」
すぐ手紙を開けた、我成。

“貫地谷くんへ
どうしても、話したいことがあります。
良ければ、今日デートしませんか?
月原”

梅乃の丁寧な字と、ラ○ンのIDも書かれていた。

サラサラと読んで、スマホを取り出した我成。

梅乃の首から下げているスマホが震えた。
【今、登録しました(⁠•⁠‿⁠•⁠)
貫地谷 我成です!
19時に、店の外で待ってます!】

梅乃は、嬉しそうに微笑んだ。


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