とある年の差カップルのほのぼのな日常
「――――貫地谷くん、待たせてごめんなさい!」

店を出ると、我成が待っていた。
梅乃を認めると、ふわりと笑った。

「月原さん!
お疲れ様です!」

「お疲れ様です!
………とりあえず、ご飯食べませんか?
まだ、ちゃんとお礼出来てないから、今日はご馳走させてくださいね!」

「あ…はい!」

梅乃は、ミサコとよく行く和食店に向かった。
半個室の座敷席に案内される。

「ここの魚の煮付け定食、美味しいですよ!」
そう言って、メニューを我成に渡した。

「じゃあ…魚の煮付け定食にします!」

注文し、我成が梅乃を見据えた。
「あの!
俺の告白……“受け入れてくれる”って思っていいんですよね?」

「はい!」

「やった!」

「ここ一ヶ月、正直…寂しかったです…(笑)」

「あ…すみません!
俺、研修に行ってて……」

「…………へ…?け、研修…?」
唖然とする、梅乃。

「はい。
俺が働きたい会社、年に一度大学生を対象に研修をしてて。
それに行っておくと、就職しやすいから」

「あ…そ、そうだったんだ……
………………私、てっきり……」

「あ、もしかして!
俺が諦めたとか思ってました?」

「………」
口をつぐむ、梅乃。

その態度は“肯定”を示していた。

「あり得ませんよ?
俺、諦める気、さらさらなかったですから!
研修が終わったら、毎日口説こうと思ってましたから!
こうなったら、ストーカーにでもなってやる!ってね(笑)」

「……/////」

「フフ…!」

「……………私、貫地谷くんよりも早くお婆さんになりますよ?」

「はい、わかってますよ?」

「日によって肌の調子悪い時あるし…」

「はい」

「10代や20代の時みたいなハリなんてない」

「はい」

「一緒にジジババにはなれません」

「はい」

「あ、介護とか!(笑)」

「最期は、母の介護してたので大丈夫です!」

「……って、それはないか…(笑)」

「介護、しますよ!
俺が、月原さんを支えます!」

「………」
(どこまでも、真っ直ぐな人…///////)

「“何を言われても”俺は、月原さんがいい!!」

「………ほんっと、敵わない…!」

「え……?」

「責任、取ってくださいね?」

「え?」

「私の心、奪ったんですから!」

「………フフ…!はい!!」


そして二人は、交際を始めたのだ――――――

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