とある年の差カップルのほのぼのな日常
それから仲良く朝食を食べる。

「――――ん!旨っ!」

「良かった!」

頬張り子どものように笑う我成に、梅乃も微笑んだ。

結婚…か……

「………」

どうしても、躊躇してしまう。

「ウメ?」

「………え…」

「どうした?」

「ううん!
…………あ!もうそろそろ用意しないと!」

食器を持って、キッチンに小走りで向かう。

「あ、置いといて!
俺がやっとくから!」

「ありがとう!」

そして準備をし、我成に声をかける。
「―――――行ってくるね!」
「はーい!」

一緒に玄関に向かう。

「ウメ、気をつけてね!」
そう言って、両手を広げる。

梅乃は微笑み、抱きついた。
抱き締め合って、向き直る。

微笑みゆっくり目を瞑る、梅乃。
我成も微笑み、顔を近づけキスをした。

「フフ…行ってきます……!」

小さく手を振り合い、出ていった。

ガシャン…と玄関ドアが閉まると、我成は伸びをして「んー!片付けて、もう一眠りするか!」とリビングへ向かった。

我成は基本、在宅ワーク。
会社への出勤は月2・3回で、マイペースに仕事をしている。
なので我成は基本、昼の梅乃の仕事中と、梅乃が寝た後に仕事をしている。
朝は梅乃との時間を過ごすと、一眠りするのだ。


一方の梅乃は、駅に向かいながら左手の平を見つめていた。

バツイチの梅乃。
離婚して、12年。
左手の薬指をさすった。

はぁ…とため息が出た。

17歳。
一回り以上も年の差がある、我成と梅乃。

そう簡単に、再婚には踏み切れない。

我成には“結婚のことは、ちゃんと考えてる”と伝えているが、正直考えられないと思っていた。

今は良くても、やっぱり未来は“同世代がいい”と思うに決まっている。

“若い娘がいい”と思うはずだ。

そうなってからでは遅い。

それなら“捨てられることを前提に”今を楽しむ方が良いのではないだろうか。

もう……
捨てられるのは、ごめんだ……

梅乃は、出来れば“今のままがいい”と思っていた。

だからせめて、時間がほしい。


梅乃は再度ため息をつき、頭を横に振って気合を入れた。


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