とある年の差カップルのほのぼのな日常
しかし、それは違った。

違うと気づいたのは、それから一週間後だ。 
その日我成は、キリヤと会社に出社して仕事をしていた。

そして、ランチを梅乃の勤める弁当屋の弁当にしようということになり、二人で買いに向かった。


「―――――いらっしゃ……あ、我成くんとキリヤくん!
二人で来るの、久しぶりね!」

ミサコが我成とキリヤに気づく。

「はい!
あの、ウメは?」

「え?あ…うん…
休憩中なの、ごめんね」

なんとなく、歯切れが悪い。

「………」
我成とキリヤは、顔を見合わせる。

「休憩中なら、会えますよね?
呼んでもらえますか?」

何故か、嫌な予感がする。
我成はミサコを見据え、鋭い視線で言った。

「………」

「ミサコさん……!」

「…………裏にいる。
行ってあげて?」

キリヤが「僕のことは良いから!」と言ってくれ、我成は頷いて店を出た。


裏に向かうと………

「―――――なんだから……!!」

梅乃ではない女性の荒らげる声が聞こえてきた。
どことなく、聞き覚えのある声。

駆けつけると、知り合いの女性が梅乃の肩を持ち責め立てていた。

「ウメ!!」 

「え……あ…我成……!?」

「が、我成くん!!?」

その女性は……我成の高校の時の恋人だった、ヤスコだった。

「ヤスコ、なんで……?」

「あ…」

「俺のウメから、手を離してよ!!」

ヤスコから剥がすように梅乃を抱き寄せた、我成。
そして、守るように抱き締めた。

「我成くん、なんで…!?」

「は?」

「なんで、こんなオバサンと付き合ってるの!?」

「好きだから」

「は?」

「え?それしかないけど。
他に付き合う理由って、存在するの?」

「何言ってるの!?
この人、親世代の女なんだよ?」

「うん、そうだね。
でも、それだけだよね?」

「私は、今度こそ我成くんと幸せになれると思ってたのに!」

「俺が幸せになれるのは、ウメとの生活だけ」

「は?
目、覚ましてよ!!
いつか絶対、後悔するよ?
やっぱ、同世代が良いって!」

「それはない」

「は?」

「それはないと思ったから、告白した。
それはないと思ったから、プロポーズした。
だから、あり得ない」

我成は、はっきりした口調で言い放った。


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