とある年の差カップルのほのぼのな日常
思ったより、誠実そうな紳士――――――

我成はケイタロウを見て、そんなことを思っていた。
正直、浮気をするような人には見えない。

優しそうで、穏やかな印象を受けた。


「我成、ごめんね。
元・旦那さんに会わせるようなことして。
でも、我成にも聞いてほしくて……!」

「うん」

我成に告げて、ケイタロウを見据えた梅乃。

「ケイタロウ。
今紹介した通り、この人が私の婚約者。
年は17歳も年下だけど、しっかりしてて、誠実で真っ直ぐ。
でも甘えん坊で、優しくて、可愛い人。
私に“本当の愛情を”教えてくれた人なの」

「そうか…!」

「私は、我成のことが好き。
初めて“自分の意志で”一緒にいたいと思った人。
この先、どんな辛いことがあったとしても、我成と生きていきたい。
……………だから、ケイタロウ。
私はもう、大丈夫!」

「あぁ!
良かった。
ずっと、気になってたから……! 
だからって裏切った僕に、梅乃を心配する資格がない。
そう思って、何もできなかった」

「何も?
…………そうじゃないよね?」

「え?」

「ケイタロウ、これ……」

梅乃が一冊の通帳を渡す。

「これ……」

それは“月本 梅乃”名義の通帳。
ケイタロウと離婚した月からずっと、決まった額の振り込みがされていた。

「これ、ケイタロウに返すね!」

「いや、これはせめてもの償いだから……!
君が使うべきだろ?」

ケイタロウは……梅乃に離婚届と10万を渡し出ていった後、梅乃に一冊の通帳を送っていた。

そして、毎月決まった金額を振り込み続けていた。

「ケイタロウ。
私は、あなたを恨んだことないよ?」

「え?」

「だって、私達は“お互いに両親に利用されて”結婚させられた者同士。
人形みたいに、言いなりになってた。
それでもケイタロウは、私との生活を“幸せにする努力”してくれてた。
だから私も、頑張れたの。
……………ケイタロウ。
ケイタロウは“浮気したんじゃない”
“自分の気持ちに正直になっただけ”
“自分の幸せを自分で決めただけ”なの。
それは、間違いじゃないんだよ?
私はそれを、ここにいる我成に教えてもらった」


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