とある年の差カップルのほのぼのな日常
「梅乃…」

「だから、これは必要ないの」 

ケイタロウが、梅乃から通帳を受け取る。
それを、大事そうに両手で包み込んだ。

「ケイタロウ」

「ん?」

「会うのは、これが最後。
お互い、幸せになろうね……!」

梅乃の真っ直ぐな視線と言葉。
ケイタロウも、大きく頷いた。

「あぁ…!
梅乃、幸せになろう!
…………えーと…我成…くん」

「はい」

「僕がこんなこと言う資格ないけど……
梅乃のこと、末永くよろしくお願いします……!」

ケイタロウは深く頭を下げ、梅乃と握手をしてその場を後にした。

それを真っ直ぐ見つめていた、梅乃。

その表情はとても綺麗で、もう…そこには何の迷いも感じられなかった。


「――――――我成、ありがとう!
話聞いてくれて!」

「うん!」 

「“これが”私の気持ち!」

「うん!
ウメの気持ち、ちゃんと受け取ったよ!」

「フフ…!
うん!
…………さぁ、部屋に戻ろう?」

「うん!
部屋に戻って……」 

「「ラブラブ!!」」

声を揃えて、笑い合った。


二人の宿泊部屋。
電気を消して、月明かりだけの光の中。

二人は、溢れる想いをぶつけ合うように抱き合っていた。

「ウメ…ウメ…好き、大好き……!」

「ん…我成…私も…//////」

「幸せになろうね…!」

「うん//////」


次の日二人は、ホテルを出たその足で婚姻届を役所に提出した。

実は梅乃はミサコとルタにお願いし、証人の欄に名前を書いてもらっていた。
そしてその婚姻届を持ってきていたのだ。

「フフ…ウメとやっと“夫婦”になれた……!」

「うん!」

「よろしくね、奥さん!」 

「こちらこそ、旦那さん!」

微笑み合う二人。

そんな二人を祝福するように、空には綺麗な青空が広がっていた。


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