サイコな結婚詐欺師は恋に仕事に子育てに今日も忙しい。
10.リーザ、先手必勝でプロポーズする。
「彼女は1ヶ月でアカデミーを卒業しました。彼女は教室にいる時は常に教師を論破し、気に入らないと教室を出て行きました」
彼の言葉によると、彼女がやっていたことはダンテと同じだ。
「あなたはエスパルの教科書を読んだことがあるの? 洗脳教育? あなたに私を洗脳できる? 教科書に書いてあることしか言えない、あなたよりよっぽど優秀な人材がいるわよエスパルには」
彼が突然エレナ・アーデンの口調を真似て言った。
「アーデン侯爵令嬢が8年前に言った通りでした。リーザ様のような聡明な方がエスパルにはいらっしゃったのですね」
彼が微笑みながら私に言ってきて私は泣きそうになった。
帝国貴族は決して人前で泣かないというアーデン侯爵令嬢の言葉を思い出し耐える。
「2代皇帝セバスチャン・レオハードの栄光を讃える授業の時には教室を出ていってしまって、みんなで彼女を追いかけました」
先ほどのエスパルの民に対する言葉に感動しつつも、教室を出たらみんなに追いかけてもらえる彼女の境遇に嫉妬してしまう。
ダンテが教室から飛び出しても問題児扱いなのに、高位貴族の美少女なら男たちがこぞって追いかけてくるなんて不公平だ。
「聞いてられない。歴代最低の皇帝よ。無能だから紫の瞳神話をでっち上げて、地位を脅かされるのが怖くて兄弟を戦死に追い込んだだけじゃない」
彼はまた、アーデン侯爵令嬢の口調を真似ながら言った。
2代目皇帝と言えば確か紫色の瞳こそ皇族の血が濃いと主張し、他の兄弟を帝国の領土を広げるために戦地に送った人だ。
「俺たちは2代目皇帝を歴代最高の皇帝として学びます。彼女は伝えられる歴史の解釈を押し付けられるのが嫌だったんだと思います」
2代目皇帝はセバスチャンと言ったのか、マラス子爵家の執事と同じ名前だ。
こんなところまで追いかけてこられているようで嫌だ。
私は自分のメモリーが少ないことを理解しているので、皇帝の名前はレオハードとしか覚えなかった。
解答欄で皇帝を問われればレオハードと書いた、正解を書いている皇帝の名前を減点できる不敬な採点者などいないと思った。
「俺たち同期は彼女と授業を受ける日々を刺激的で幸運だと思ってました。
彼女に跪いて皇帝陛下にするような挨拶をした奴がいた時も少し笑ってくれていたりしたんです。
彼が急に淋しそうに、声をより小さく話し出した。
「彼女がここは苦しくていられない、無能な教師陣のことを暴露されたくなければ卒業させろと言っているのを見てしまったんです。俺たちばかり楽しくて彼女にとって苦しい日々とは誰も思ってなかったから同期には言えませんでした。だから、ダンテ様が苦しむと言ったのは自分の経験からではないかと思うのです」
どうしてダンテと同じようなことをしているのに、ダンテは煙たがれ彼女はこんなに心配されて心を察してもらえるのだろう。
彼女は明らかに周りに対して攻撃的だ、反対にダンテは人が大好きで周りに常に話しかけていた。
ただ言って良いことと、言ってはいけないことの区別がつかず余計なことを言ってしまっていた。
人嫌いの彼女にはなぜ人が寄ってきて、人が大好きで仕方ない彼の周りからは人が去っていくなんて理不尽だ。
「それにしても、どうしてそんな小さい声で話すのですか? 馬の足音で御者にも聞こえないと思いますが⋯⋯」
私が、彼に合わせた小声で話しかけた。
「あの馬の中に人が入っているかもと思ったのです。アーデン侯爵令嬢はいつも知るはずのないことを知っているので、彼女に会った後はものすごく慎重になってしまいます」
彼が耳打ちするように小声で言ってきた言葉に思わず笑ってしまった。
「あの馬は本当の馬だと思いますよ。うっすらと家畜の匂いが漂っていますから」
私の言葉に彼がホッとするのがわかった、確かに彼女は情報ギルドの首長並みの情報力を持っている。
「あの、これ俺がアカデミーで使ってたノートです。それと毎日のテストや毎週の定期テストも入ってます」
突然、彼が大きなカバンを渡しながら言ってきた。
「5年以上前のものなのでお役に立つかわかりませんが宜しければ使ってください」
ダンテとレオの勉強の役にな立つならばと、とりあえず受け取った。
「あの必要だから持ち歩いていたのではないですか?」」
私は疑問に思ったことを尋ねてみた。
「アカデミーの3年間は本当に勉強が大変で1日2時間睡眠がとれれば良い方でした。これは、自分はこんだけ頑張ったのだから、この先何があっても大丈夫というお守りとして持ち歩いてただけです」
彼が頭をかきながら恥ずかしそうに言ってくる。
「お守りなら持ち歩いていなくて良いのですか?」
私は彼に尋ねながらも、私も日記帳を自分の自信を保つために持ち歩いているので彼との共通点を感じ嬉しかった。
「スモア伯爵の存在が俺のお守りになりました。頑張っているあなたの存在が俺にとってこの先の道標になりそうです。本当に出会えて良かったです」
彼が微笑みながら伝えてくる言葉に心が満たされてくのが分かる。
私に頑張っているなんて言ってくれる人はこれまでいなかった。
スモア伯爵という呼び方に寂しさを感じる。
私は彼と名前で呼び合う仲になりたい。
「アーデン侯爵令嬢は誤解されやすいけれど、優しい方ですので色々頼りにされると良いと思いますよ」
彼は私を気遣う意味で言ったのかもしれないが、その言葉に自分の心が一気に冷え込んでいくのを感じた。
「誤解されやすいけれど優しい」と男に言わせる女は大抵美人系で男を沼らせる。
キツイ性格でも、たまの優しさでどんどん加点されていくのだ。
逆に可愛い系の私は常に優しいことを期待される。
少しでも意に沿わない態度をすると、どんどん減点されていくのだ。
マラス元子爵は美人で貴族出身の第1夫人に実は沼っていた。
第2夫人には金を求め、私には癒しを求めていたが本命は第1夫人だった。
結婚当初からたくさん私は第1夫人に意地悪をされ、それを彼に解決して欲しくて報告した。
しかし、すでに彼は彼女に沼っていたので、「誤解されやすいけど優しい」彼女を非難する女として私が減点されるだけだった。
私に一目惚れしてくれて、エドワード様も私に好意を持ってくれているというのは私の勘違いだったのだろうか。
彼が美人系に沼るタイプならば、私はお呼びでないのかもしれない。
「俺がアカデミーに通ってた時は、アーデン侯爵令嬢がどこからか入手してきたテストの原本をいつも事前にくれたので助かってました」
彼は私に困ったことがあれば彼女を頼るように薦めているつもりなんだろうけれど、私はもう彼女の話は聞きたくなかった。
「彼女に海に漂流したらどうするかと尋ねられたので、岸まで泳ぐと答えたんです。そしたら、答えた後に岸まで600キロあるから残念と言ってきたのですよ」
私は彼女がどうしても親切な人間に思えず、意地悪されたエピソードを彼に話した。
「彼女は何かあったら、まず何でも質問してということを伝えたかったのだと思いますよ」
彼の言葉に彼がキツイ美人系の優しいところ探しが好きな人間だと言う疑惑が強まる。
まあ、私の気持ちはもう決まっているから、ここで言わせてもらおう。
「私は18歳の時に愛のない結婚をしました。私が自分を18歳だというのは、私がその結婚を後悔しているからです。あの時に戻れたらと何度も考えました」
私はしっかりした声で彼を見つめながら言った。
「実際の私は31歳です。小さい頃から愛するする人と結婚することが夢で諦めることができません。必ず離婚します。だから私と結婚してください、エドワード様」
私は自分の意思表明をしたくて、彼にプロポーズをした。
この後、子爵領に戻って再建に取り組む彼と中央で働く私では次はいつ会えるか分からない。
「俺にもチャンスがあるんですね。俺からも言わせてください。俺と結婚してください、リーザ様」
彼が馬車の中に跪いて、私の手を取り指輪をはめる仕草をしながら言ってくる。
いつか、この左手の薬指に指輪を嵌めてくれるということだろうか。
「申し訳ありません。結局、全然、皇宮の案内をできていないですね」
彼は、そう言うけれど、そんないつでもできそうなことどうでもいい。
初めて自分が好きだと結婚したいと思える人を見つけて、彼も私のプロポーズに応えてくれた。
「建国祭の時には皇宮に来ます。また会える時にはリーザ様の隣に自信を持っていられる男になるよう頑張りますね。」
彼のエスコートで馬車を降りた。
私にも、エドワード様の存在という新しいお守りができた瞬間だった。
お腹などなったことがほとんどないのに、あの時お腹の音でエドワード様を引き留めることができたとは私は本当に運が良い。
彼の言葉によると、彼女がやっていたことはダンテと同じだ。
「あなたはエスパルの教科書を読んだことがあるの? 洗脳教育? あなたに私を洗脳できる? 教科書に書いてあることしか言えない、あなたよりよっぽど優秀な人材がいるわよエスパルには」
彼が突然エレナ・アーデンの口調を真似て言った。
「アーデン侯爵令嬢が8年前に言った通りでした。リーザ様のような聡明な方がエスパルにはいらっしゃったのですね」
彼が微笑みながら私に言ってきて私は泣きそうになった。
帝国貴族は決して人前で泣かないというアーデン侯爵令嬢の言葉を思い出し耐える。
「2代皇帝セバスチャン・レオハードの栄光を讃える授業の時には教室を出ていってしまって、みんなで彼女を追いかけました」
先ほどのエスパルの民に対する言葉に感動しつつも、教室を出たらみんなに追いかけてもらえる彼女の境遇に嫉妬してしまう。
ダンテが教室から飛び出しても問題児扱いなのに、高位貴族の美少女なら男たちがこぞって追いかけてくるなんて不公平だ。
「聞いてられない。歴代最低の皇帝よ。無能だから紫の瞳神話をでっち上げて、地位を脅かされるのが怖くて兄弟を戦死に追い込んだだけじゃない」
彼はまた、アーデン侯爵令嬢の口調を真似ながら言った。
2代目皇帝と言えば確か紫色の瞳こそ皇族の血が濃いと主張し、他の兄弟を帝国の領土を広げるために戦地に送った人だ。
「俺たちは2代目皇帝を歴代最高の皇帝として学びます。彼女は伝えられる歴史の解釈を押し付けられるのが嫌だったんだと思います」
2代目皇帝はセバスチャンと言ったのか、マラス子爵家の執事と同じ名前だ。
こんなところまで追いかけてこられているようで嫌だ。
私は自分のメモリーが少ないことを理解しているので、皇帝の名前はレオハードとしか覚えなかった。
解答欄で皇帝を問われればレオハードと書いた、正解を書いている皇帝の名前を減点できる不敬な採点者などいないと思った。
「俺たち同期は彼女と授業を受ける日々を刺激的で幸運だと思ってました。
彼女に跪いて皇帝陛下にするような挨拶をした奴がいた時も少し笑ってくれていたりしたんです。
彼が急に淋しそうに、声をより小さく話し出した。
「彼女がここは苦しくていられない、無能な教師陣のことを暴露されたくなければ卒業させろと言っているのを見てしまったんです。俺たちばかり楽しくて彼女にとって苦しい日々とは誰も思ってなかったから同期には言えませんでした。だから、ダンテ様が苦しむと言ったのは自分の経験からではないかと思うのです」
どうしてダンテと同じようなことをしているのに、ダンテは煙たがれ彼女はこんなに心配されて心を察してもらえるのだろう。
彼女は明らかに周りに対して攻撃的だ、反対にダンテは人が大好きで周りに常に話しかけていた。
ただ言って良いことと、言ってはいけないことの区別がつかず余計なことを言ってしまっていた。
人嫌いの彼女にはなぜ人が寄ってきて、人が大好きで仕方ない彼の周りからは人が去っていくなんて理不尽だ。
「それにしても、どうしてそんな小さい声で話すのですか? 馬の足音で御者にも聞こえないと思いますが⋯⋯」
私が、彼に合わせた小声で話しかけた。
「あの馬の中に人が入っているかもと思ったのです。アーデン侯爵令嬢はいつも知るはずのないことを知っているので、彼女に会った後はものすごく慎重になってしまいます」
彼が耳打ちするように小声で言ってきた言葉に思わず笑ってしまった。
「あの馬は本当の馬だと思いますよ。うっすらと家畜の匂いが漂っていますから」
私の言葉に彼がホッとするのがわかった、確かに彼女は情報ギルドの首長並みの情報力を持っている。
「あの、これ俺がアカデミーで使ってたノートです。それと毎日のテストや毎週の定期テストも入ってます」
突然、彼が大きなカバンを渡しながら言ってきた。
「5年以上前のものなのでお役に立つかわかりませんが宜しければ使ってください」
ダンテとレオの勉強の役にな立つならばと、とりあえず受け取った。
「あの必要だから持ち歩いていたのではないですか?」」
私は疑問に思ったことを尋ねてみた。
「アカデミーの3年間は本当に勉強が大変で1日2時間睡眠がとれれば良い方でした。これは、自分はこんだけ頑張ったのだから、この先何があっても大丈夫というお守りとして持ち歩いてただけです」
彼が頭をかきながら恥ずかしそうに言ってくる。
「お守りなら持ち歩いていなくて良いのですか?」
私は彼に尋ねながらも、私も日記帳を自分の自信を保つために持ち歩いているので彼との共通点を感じ嬉しかった。
「スモア伯爵の存在が俺のお守りになりました。頑張っているあなたの存在が俺にとってこの先の道標になりそうです。本当に出会えて良かったです」
彼が微笑みながら伝えてくる言葉に心が満たされてくのが分かる。
私に頑張っているなんて言ってくれる人はこれまでいなかった。
スモア伯爵という呼び方に寂しさを感じる。
私は彼と名前で呼び合う仲になりたい。
「アーデン侯爵令嬢は誤解されやすいけれど、優しい方ですので色々頼りにされると良いと思いますよ」
彼は私を気遣う意味で言ったのかもしれないが、その言葉に自分の心が一気に冷え込んでいくのを感じた。
「誤解されやすいけれど優しい」と男に言わせる女は大抵美人系で男を沼らせる。
キツイ性格でも、たまの優しさでどんどん加点されていくのだ。
逆に可愛い系の私は常に優しいことを期待される。
少しでも意に沿わない態度をすると、どんどん減点されていくのだ。
マラス元子爵は美人で貴族出身の第1夫人に実は沼っていた。
第2夫人には金を求め、私には癒しを求めていたが本命は第1夫人だった。
結婚当初からたくさん私は第1夫人に意地悪をされ、それを彼に解決して欲しくて報告した。
しかし、すでに彼は彼女に沼っていたので、「誤解されやすいけど優しい」彼女を非難する女として私が減点されるだけだった。
私に一目惚れしてくれて、エドワード様も私に好意を持ってくれているというのは私の勘違いだったのだろうか。
彼が美人系に沼るタイプならば、私はお呼びでないのかもしれない。
「俺がアカデミーに通ってた時は、アーデン侯爵令嬢がどこからか入手してきたテストの原本をいつも事前にくれたので助かってました」
彼は私に困ったことがあれば彼女を頼るように薦めているつもりなんだろうけれど、私はもう彼女の話は聞きたくなかった。
「彼女に海に漂流したらどうするかと尋ねられたので、岸まで泳ぐと答えたんです。そしたら、答えた後に岸まで600キロあるから残念と言ってきたのですよ」
私は彼女がどうしても親切な人間に思えず、意地悪されたエピソードを彼に話した。
「彼女は何かあったら、まず何でも質問してということを伝えたかったのだと思いますよ」
彼の言葉に彼がキツイ美人系の優しいところ探しが好きな人間だと言う疑惑が強まる。
まあ、私の気持ちはもう決まっているから、ここで言わせてもらおう。
「私は18歳の時に愛のない結婚をしました。私が自分を18歳だというのは、私がその結婚を後悔しているからです。あの時に戻れたらと何度も考えました」
私はしっかりした声で彼を見つめながら言った。
「実際の私は31歳です。小さい頃から愛するする人と結婚することが夢で諦めることができません。必ず離婚します。だから私と結婚してください、エドワード様」
私は自分の意思表明をしたくて、彼にプロポーズをした。
この後、子爵領に戻って再建に取り組む彼と中央で働く私では次はいつ会えるか分からない。
「俺にもチャンスがあるんですね。俺からも言わせてください。俺と結婚してください、リーザ様」
彼が馬車の中に跪いて、私の手を取り指輪をはめる仕草をしながら言ってくる。
いつか、この左手の薬指に指輪を嵌めてくれるということだろうか。
「申し訳ありません。結局、全然、皇宮の案内をできていないですね」
彼は、そう言うけれど、そんないつでもできそうなことどうでもいい。
初めて自分が好きだと結婚したいと思える人を見つけて、彼も私のプロポーズに応えてくれた。
「建国祭の時には皇宮に来ます。また会える時にはリーザ様の隣に自信を持っていられる男になるよう頑張りますね。」
彼のエスコートで馬車を降りた。
私にも、エドワード様の存在という新しいお守りができた瞬間だった。
お腹などなったことがほとんどないのに、あの時お腹の音でエドワード様を引き留めることができたとは私は本当に運が良い。