人生詩集・番外編
アルテミス・弥生の木の下で・3
春、夏、秋が過ぎ、冬となり、すっかり俺も老人となってしまった。今はおまえに焦がれる空しさを知り、またおまえの仮でしかない、幾度もの容姿のうつろいと入滅を見て来た。しかし次の春、また次の転生に、都度おまえはよみがえり、美しさを誇っては、性懲りもなく数多の人をして狩り、狩らせるのだろう。その都度魅惑され翻弄され続ける俺たちも馬鹿だが、しかしアルテミス、それほどのおまえであるということだ…
満開の桜の木の下で、すっかり老いぼれた冬、老人となってしまった俺は、しかし云う。
「おお、美しい。おお、美しい…」と痴れ者のようにひとつことを。今はおまえの実体を知ってはいても、やはり咲いたおまえの前で、春を取りもどした世中の前で、これを愛でずにはおれないのだ…
【from pixabay, by Valerialu】
満開の桜の木の下で、すっかり老いぼれた冬、老人となってしまった俺は、しかし云う。
「おお、美しい。おお、美しい…」と痴れ者のようにひとつことを。今はおまえの実体を知ってはいても、やはり咲いたおまえの前で、春を取りもどした世中の前で、これを愛でずにはおれないのだ…
【from pixabay, by Valerialu】