人生詩集・番外編

夜のタブロー・1

詠むべしや、否、かなうなら
絵に託してんや、この怪しなる…

幾時とも知れぬ夜のこと、図書館の前、
その一隅を照らす街灯のあり。
霧まごう小雨に木立ちの影あやしく揺れて、
明かり落とせし館内と、前なる歩道に人はなし。
我目フィクスせしこの景を、一枚の絵とぞ、
見るはいかなる我カルマならん。
是非もなく、いとしきはこの絵。
時の止まりたる、夜のタブローなりき。

この絵中、唐突に入り来たれるものあり。
そは闇に浮かぶ白き花、
制服身につけし、ひとりの女子高生とぞ。
何者かに追われるごとく怯えつつ、しかし声はなく、
館前に施錠せし自転車の鍵を、もどかしげに解かんとすめり。
この乙女のいずくより出で来たれるや?
閉館したる図書館の中、はたまたフィクスの外、異次元の闇の淵より出で来たりしものか。
その乙女の姿街灯に照らされて館に映え、シルエットの大きく怪しく踊る。
折しもよ、
これに迫り来たる、いまひとつのおぞしき影あり。
両手を前に翳しつつ、
左下方より絵中に入り来んとす。

             【求むるは闇の中の光…from pixabay】

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