人生詩集・番外編
♫バーバラ・ボニー、シューベルト&ミー♬・1
なんと愛らしいこの雰囲気、この夕べのひととき。
バーバラ・ボニーの歌うシューベルトを聞いていると、
忘れていたものが、今に甦って来たりもする…
浮かんでくるのは、銅製の、一輪挿しに活けられた 一本の赤いバラ。
おもねるような美しさと、香りに、 またバロック風の一輪挿しに魅せられて、
少年だったぼくは、バラとのひとときを過ごしたものだった。
君を貴婦人に見立てては語りかけ、その応えをさぐる。
「水を替えて」「わたし綺麗でしょ?」「行っちゃだめ …」等々、
君の応えを考えてはつむぎだし、あげく君にくちづけしては、
ませた子供の、性のよろこびとしていたのだった。
また浮かんでくるのは、ピアノにもたれかかってぼくを見つめている、ひとりの若い女性教師の姿。
「さあ、歌いなさいな」とばかり、やさしく微笑み、ぼくを誘ってくれる。
ぼくは歌うことが大好きで、日曜の無人の校舎に行っては、
声がよく響く一角で「野ばら」を歌い、ひとり悦に入っていたのだった。
ボーイソプラノのこの歌声を、 ウイーン少年合唱団の、あのトニーに負けぬものと、
そう自負もしていたんだ…。
♯~♪~♫~♪~♬~♪~♬~♮~♭
ただの夢想だったのか、現実だったのか。 先生がピアノを弾きだし、ぼくはトニーとなって…
バーバラ・ボニーの歌うシューベルトを聞いていると、
忘れていたものが、今に甦って来たりもする…
浮かんでくるのは、銅製の、一輪挿しに活けられた 一本の赤いバラ。
おもねるような美しさと、香りに、 またバロック風の一輪挿しに魅せられて、
少年だったぼくは、バラとのひとときを過ごしたものだった。
君を貴婦人に見立てては語りかけ、その応えをさぐる。
「水を替えて」「わたし綺麗でしょ?」「行っちゃだめ …」等々、
君の応えを考えてはつむぎだし、あげく君にくちづけしては、
ませた子供の、性のよろこびとしていたのだった。
また浮かんでくるのは、ピアノにもたれかかってぼくを見つめている、ひとりの若い女性教師の姿。
「さあ、歌いなさいな」とばかり、やさしく微笑み、ぼくを誘ってくれる。
ぼくは歌うことが大好きで、日曜の無人の校舎に行っては、
声がよく響く一角で「野ばら」を歌い、ひとり悦に入っていたのだった。
ボーイソプラノのこの歌声を、 ウイーン少年合唱団の、あのトニーに負けぬものと、
そう自負もしていたんだ…。
♯~♪~♫~♪~♬~♪~♬~♮~♭
ただの夢想だったのか、現実だったのか。 先生がピアノを弾きだし、ぼくはトニーとなって…